「レイ・ジェラルド?」


思わず一人、呟いた。


なんか昔、そんな小説家がいた気がする。気のせいかもしれない。そんな小説家なんていなかったのだろう。


でも、いたらどうだろう? レイ・ジェラルド。やはりいた気がする。でも、レイ・ジェラルド。やはりそんな小説家なんて。


しかし、どうしてまた僕は小説家だと思っているのだろう。アーティストだったかもしれないし、建築士だったかもしれない。いや、映画監督か? それとも……。


何はともあれ、僕はこの「レイ・ジェラルド」という名前が妙に気になった。気になって、気になって、仕方がなかった。