ピーチフィズとビール、そして軟骨の唐揚げが届いて、私たちは乾杯した。


久しぶりに飲むお酒は、身体中の血管を躍らせるようにめぐって、私は三口ほどで少し酔ってしまった。


「お酒、あんまり強くないの?」


「え?」


フジオカさんが私の耳たぶに触れた。


「ほら、赤くなってる」


ううぅ……。


そりゃ、男の人から耳たぶなんて触られると、赤くだってなる。


「顔も赤くなってるね」


と今度は頬に触れた。


フジオカさんの手はすべすべしていて、指が細くて長かった。


しかしこの距離。キスの距離だ。


そして、わかったことがある。


イケメンにキスの距離で見つめられると、女の子は簡単に恋に落ちてしまうということを。