「お客さん、随分飲んだみたいだね。何かいいことでもあったのかね?」 とタクシーの運転手が言った。 「その逆ですよ」 「へえ、逆? こっちの道じゃなかったかね?」 「いえ、道のことではないです」 ひどい吐き気を催した。 しかし、なんとか堪えた。