車に戻ると、パチンコ屋の時と同じ姿勢のまま、キヨタカは起きていなかった。


僕は「実家に帰る」という妻を自宅に送り届け、キヨタカを乗せたまま再び、5年前のあの場所に戻ってきた。


水族園を出て、妻に告白した場所。


屋形船が走る大きな川。


僕は、キヨタカを静かにそっと、水面に浮かべた。


キヨタカが、あのエトピリカのように少しでも動いてくれることを願って。


願いは届かず、僕は一人で一人の家に帰った。