「二度と迷子になりませんように……とか?」
「あ、いや、それは……っ!」
神宮寺君がクスクスと笑いながら言ったので、つられて笑ってしまった。
スマホを花火に向けて写真を撮る彼を見て、いつまでもこの瞬間が終わらなければいいのに……って、心の中で、花火にそっと願ってしまった。
自分から神宮寺君に存在を知ってもらう努力なんかした事がないのに、こんな時だけ願いをかけるのはズルいのかもしれないけれど。
花火を見上げる神宮寺君の横顔はとても綺麗で、キャンバスに描かれた絵のようで……ずっとずっと見ていたかった。
「……あ。ちょっとゴメン」
花火に向けていたスマホの画面が着信を知らせる物に変わり、神宮寺君は腕を下ろして、私から少し離れた。
電話をかけてきた相手の名前が見えて、私は俯く。
都合よく物語は進まない。
この時間が終わらなければいいのになんて、儚い願い。
夜空に打ちあがる花火と同じだ。
「佐伯さん、ゴメン。俺、もうそろそろ行くね」
「あ、うん……。本当にありがとう」
「もう、迷子になるなよ?」
そう言って、神宮寺君は手を振って足早にこの場から去っていく。
「あ、いや、それは……っ!」
神宮寺君がクスクスと笑いながら言ったので、つられて笑ってしまった。
スマホを花火に向けて写真を撮る彼を見て、いつまでもこの瞬間が終わらなければいいのに……って、心の中で、花火にそっと願ってしまった。
自分から神宮寺君に存在を知ってもらう努力なんかした事がないのに、こんな時だけ願いをかけるのはズルいのかもしれないけれど。
花火を見上げる神宮寺君の横顔はとても綺麗で、キャンバスに描かれた絵のようで……ずっとずっと見ていたかった。
「……あ。ちょっとゴメン」
花火に向けていたスマホの画面が着信を知らせる物に変わり、神宮寺君は腕を下ろして、私から少し離れた。
電話をかけてきた相手の名前が見えて、私は俯く。
都合よく物語は進まない。
この時間が終わらなければいいのになんて、儚い願い。
夜空に打ちあがる花火と同じだ。
「佐伯さん、ゴメン。俺、もうそろそろ行くね」
「あ、うん……。本当にありがとう」
「もう、迷子になるなよ?」
そう言って、神宮寺君は手を振って足早にこの場から去っていく。