「あの……本当にありがとう。実は、部活のメンバーと一緒に来てたんだけど、はぐれちゃって……」


スポーツドリンクを飲んだ事で、少し落ち着きを取り戻した。

私が言うと、神宮寺君が苦笑する。


「それなら向こうも探してるかもなー。スマホは?連絡とってみたら?」

「それが……バッテリー切れちゃって」

「不運って続くもんだな。……美術部か。桜井さんの連絡先なら知ってるけど、メッセージ送っておこうか?」

「本当?ありがとう……!」


神宮寺君はスマホを操作しながら笑顔で頷いてくれた。

良かった、神宮寺君がちなみちゃんの連絡先を知っててくれて。

ちなみちゃんは神宮寺君と同じクラスだし、グループメールがあるほど仲がいいクラスだってよく話してたし。


「ここで来るの待つ?それとも先に帰る?」

「先に帰るって伝えてもらえると……」

「オッケー」


神宮寺君の問いかけにホッとした。

バッテリーが切れてる事をみんなは知らないから、無視して帰ったって思われたら嫌だし。