「神宮寺君はあの日、大丈夫だった?」

「え?何が?」

「あ、えっと、電話かかってきた後、慌てていなくなったから、彼女さん待たせてたのかなって……」

「彼女?……ああ!あれか」


神宮寺君の中で彼女の事はもう、『あれ』なんだ?

いつからか、部活中にマネージャーと二人でいる事が少なくなり、マネージャーは違う人と一緒にいる事が多くなっていた。

別れたのかなって不思議に思ったけれど、誰かに聞ける事でもないし、自分の気持ちが露呈するのも嫌だったから特に何もしなかった。


「あの日の事なら、彼女じゃなくて……。俺もサッカー部の奴らと合流する予定だったから」

「そうだったんだ……」

「あん時、マネージャーから恋愛の相談されてて、花火大会をきっかけに上手くいくように協力して欲しいっていう事だったからさ。肝心の俺がいなかったから、電話ですぐに来いって言われて慌てて行ったわけ」


……マネージャーに恋愛の相談をされてた?