「びっくりした……」

「ゴメンゴメン。驚かせるつもりはなかったんだけど」


両手をあわせて申し訳なさそうに謝る神宮寺君に思わずクスッと笑ってしまう。

一年前のあの日以降、特に私は何も動こうとしなかった。

美術室から見えるグラウンドで、神宮寺君とマネージャーの姿を見るのはしばらく辛かったけれど。

彼とも特に言葉を交わす機会はなく、高校一年を終えた。

二年に進級してのクラス替えで、神宮寺君と同じクラスになった。

そうなると言葉を交わす事が自然と増え、最初は緊張で戸惑ったけれど、今は緊張せずに自然体でいられる。


「佐伯さん、花火大会行くの?」

「えっ?」

「ポスターめちゃめちゃ見てたから」

「そんなに見てた?」

「うん」


私が聞くと、神宮寺君は笑顔で大きくうなずいた。

やだなー、いつから見られてたんだろう?