サクサクっとシロップの染みた雪山を崩し、口に運べば広がる冷たい甘さ。
「美味しい…!」
かき氷なんて何年ぶりだろう
「この氷はね、うち自家製のものなんだよ」
「へぇ〜!流石おじさん、だから美味いんだ!」
屋台の中から顔を覗かせニコニコと話かけてくれる愛想のいいおじさん。
…自家製の氷ってのはちょっとよくわからないけど、でも美味しいのは確か。
「日向くんは見る目がある、ってことだね」
「そうよ!にいちゃん、良い眼持ってるねぇ」
「っはは、俺はツイてるからな!」
太陽みたいに明るい彼は一緒にいる人たちの心まで照らしてくれる。
親のいない夏祭りなんて新鮮で、ふとした時これでよかったのかと不安になるけど隣で笑う彼のことを見ると別に良いんじゃないかって。
無意識に溢れた幸福感が顔にも出ていたらしく、次の店へと移る途中彼は私の顔を覗き込んで
「もしかして、彩も楽しい?」といたずらっ子のように笑った。
…その時、