「…彩、すまなかった。これからは…やりたいことがあるなら言いなさい、行きたい場所があるなら行きなさい。君が楽しんで来れるように、準備も手伝ってやる。…もちろんダメな時は止めるがな」



「そして、家で帰りを待っているから。よかったら、…気が向いたら、話を聞かせてくれないか」



「…今日久しぶりにお前の声を聞いた気がしたんだ。ずっと苦しい思いをさせていたな、反省するよ」



「…話してくれてありがとう」



「…あと、彼との関係は知らないが、もしまた会う予定があるなら気づかせてくれてありがとう、と言っておいてくれ」








「……もう、遅いよ」





自室のベットの上。扉越しに聞いたお父さんの謝罪は今日を含めた「許し」だった。



家に着くや否や、今までのこと、そしてこれからのこともたくさん話した。
お父さんの前でこんなに声を張ったのは久しぶり。


その結果が、この優しい愛だ。檻のような愛とは違う、それはもう、私には贅沢すぎるほどあたたかい。



望んだ現実だった。


確かに変えられた日常だった。




…だけど、私はワガママだ。




淡く灯る小さな豆電球に、手を伸ばす。
今日という日は一瞬に過ぎ去って、その一瞬で、魅了された光を見つけた。




「あの眩しい光が頭から離れそうにない…」