射的 りんご飴 お面 ラムネ



花火の時間になるまで、いろんな屋台を見て回っては遊んで、たくさん話しては笑った。



「こことかどうかな?」


「あぁ、いいと思う!」


瞬く間にすぎた夢の時間を満喫し
いよいよフィナーレの花火が始まる。


私たちは屋台の通りから少し逸れた木陰に移動し、運良く空いていた石段に腰を下ろした。


夕日は沈み、黒の絵の具を落としたような夜が空一面に広がっている。


待ち望んでいた花火。だけどまだ打ち上がらないで欲しいと願っている自分もいる。それはきっと、隣に彼がいるから。


「いっぱい歩いたな〜 足痛くなかったか?」


「うん、おかげさまで」


私が下駄で歩いていることを気にかけて何度か休憩を挟んでくれていた。おかげで足が痛いことも、疲れて歩けないなんてこともなく下駄であることすらも忘れるほど気楽に祭りを楽しめた。


「…本当にありがとう」



誘ってくれて、気にかけてくれて、助けてくれて
そして、出会ってくれて。


いろんな意味を込めて呟いたこの言葉、ちゃんと伝わっているだろうか。




「…」





いや、今伝わらなくてもいい。
この後…花火が終わったら、もう一度伝えるんだから。









この後…?




この後、もうお別れになるの…?