「……?」


ポカンとしていると莉緒菜ちゃんは焦ったように口を開けていた。



「どうしたの?」



「紬。そろそろ中に入らないと遅刻扱いになるよ」



手をぐいっと引かれて教室の中に入る。




手を引っ張ったのは



豹牙くんだった。




「あ……豹牙くん……。ありがとう」


「今日は部活ないから一緒に帰ろっか」


「えっと……。今日は莉緒菜ちゃんと……」


「おばさん今日帰るの遅くなるらしいよ。俺の家で待つように言われてるから今日は我慢して」




豹牙くんは言葉を遮って冷たく言い放つと私の反応を待っていた。