豹牙くんが黙り込んでいるのが答えだって知ってる。


「ごめんね。面倒くさい彼女だったよね……。でも、明日からは……」



「紬、今本当に面倒くさい」



「……っ。ご、ごめん」



腕から解放されたと思うと私の頬を掴んで強制的に目線を合わせられる。



……でも。


目に映ったのは嫌そうな顔をしている豹牙くんでも、無関心で蔑んだ目の豹牙くんでもなかった。




口角の上がったまるで興奮しているような男の人。



こんな豹牙くんの顔……見たことない。



恐怖で震えが止まらない。

立っているのも限界で、そのまま地面に崩れた。