入学式は、おめでたいと言う名のめんどくさい行事で、あんまり記憶に残ってない。
だが、高校生活開始から3日がたとうとしてる。クラスの中でもうグループはできていて、私は孤立。平常運転だが困る。
昨日の帰り道、鈴歌にも心配されてしまった。
『友達できた?大丈夫?…では無いよね。友達作りたいって言ってたもんね。あーぁ、クラス離れちゃったからなぁ。』
って。私の小さな夢みたいな存在でもあることを知っていた鈴歌は余計に心配してくれたけど、無駄に心配かけたくないから頑張りたい。せめて、お隣の席の…。この際、性別なんて関係ない。
ただ、どう切り出そう。前回話しかけてくれたから、他の子達よりかはマシだけど…。鈴歌という今では家族とも呼べるほどの中の友人しかいない私にとって、友人を作るための会話なんてしたことない。
そんなこんなでかなりの時間悩んでいたら、ホームルームが始まった。
そんな中、先生からプリントが配られた。内容としては入部届けで、仮入部は今日から来週末まで出来るらしい。提出も来週末まで。
だが、私はもう部活は決まっている。
…鈴歌は何部に入るのだろうか。
………これだ!

「せ、せ瀬戸山さん!部活って、何にするの?」
「ん、如月さん?部活かぁ、ん〜っと…。実は中学校の頃から陸上でかなり本気出してたんだよねぇ。だから高校も陸上かなぁ。」
「そ、そうなんだね…!」
…どうしよう!会話が終わっちゃう…!
「如月さんは何部に入ろうとか思ってる?」
「ぇ、私?えっと…吹部だよ。」
「吹部かぁ、いいじゃん!中学の時も吹部だったの?」
「う、うん。」
瀬戸山くんが会話を広げてくれる。
友人作り初心者の私にとってはかなりありがたい。
「俺、そこまで詳しくないんだけど…楽器って何やりたいとか希望あるの?」
「ぅ、うん!えっと、オーボエってわかる?それを希望しようかなって」
「オーボエ!?俺それ知ってるよ!たまたま中学の時に音を聞いたんだけどそんときから好きでさぁ!」
「そ、そうな、の…?」
「うん。お互い部活頑張ろうね!」
あ、会話終わっちゃった。
鈴歌以外の人と話すのは新鮮で、結構疲れた。
このまま頑張れば友達になれるかな。なれるといいな。