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学校に着いたのはチャイムの鳴るの七分前だった。教室には既にほとんどの生徒がそろっている。
教室の後ろ、ロッカーの前に美咲と悠真くんの姿を見つけ、そちらに足を進める。
「おはよー」
声をかけると二人はスマホから顔を上げる。
「紬ちゃんおはよう」
「紬、おはよ!やっぱ今日は湊斗くんと一緒じゃないんだ」
「湊斗、遅刻するって連絡来てたの」
「そっか。どうせ遅くまで映画観てたんじゃないの」
美咲の言葉に思わず笑ってしまう。私と湊斗は夜中に映画を観すぎて次の日に遅刻することは何度かあった。二人からすれば私たちは常習犯と思われていてもおかしくない。二人と話しながら湊斗のメッセージを確認すると最後に私が送ったメッセージには未だに未読のままだ。
「でも連絡来てたの夜中だし、私の返信に全然既読付かないんだよね。悠真くん何か聞いてないの?」
「紬ちゃんに何も言ってないなら誰も知らないでしょ……」
そうは言いながらも手にしていたスマホに目をやり操作する。
「俺には何にも連絡来てないよ」
「そっか、ありがと」
二人の会話を聞いていた美咲は「まあ遅刻すると連絡はあったからそのうち来るでしょ」と言う。時計に目をやるとチャイムの一分前になっていた。
隣のクラスに戻る美咲を見送り、私たちも自分の席に着いた。
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キーンコーンカーンコーンと終礼のチャイムが鳴る。クラスの全員が席に着いたのを確認した担任が連絡事項を伝える中、私はカバンに荷物を詰め込む。
「みんな部活休みなんだから、来週からのテストちゃんと勉強しろよー」
「はーい」と気の抜けた返事をする生徒たちに担任はやれやれとため息をついた。
七月の二週目に控えたテストに向け、一週間前の今はテスト期間だ。全部活動が活動休止となっている。
「何か連絡ある人いないよな?じゃあ号令」
担任の言葉をきっかけに委員長が号令をし終礼が終わりを告げる。教室は一気ににぎやかになる。
「紬!もう帰れるー?」
しばらくすると教室に美咲が顔を出す。準備していたカバンを肩にかけ美咲の方へ向かう。
「帰れるよ」
「よしっ」
昼頃、湊斗から返信が来ていた。『返信遅くなってごめん!今日行けなそう…明日は行く!!!』と動くスタンプ付きのメッセージにいつもの笑顔をする湊斗の顔が浮かんできた。
いつもは部活終わりに二人で帰るが今日は休みだと伝えると「じゃあ、今日は一緒に帰ろう!」と美咲が誘ってくれた。
「紬ちゃん、美咲ちゃん。俺も途中まで一緒に帰っていい?」
二人並んで廊下に出ると荷物を抱えた悠真くんが追いかけてくる。
「いいよ。」
「今日はこのまま帰るの?」
「どっか寄り道しようかな」
少し離れた場所に家がある二人とは駅で別れ、家へと足を進める。住宅街に入ると大人数で下校する小学生の集団とすれ違う。色とりどりのランドセルを揺らしはしゃぐ子供たちを見ると、一人歩く自分が寂しく感じた。