○午前中の休み時間・学校
照 「俺、にこちゃんと付き合ってるんだ♡」
照の爆弾発言に、仁子はびっくり。
クラスメイトも騒然。
仁子、照をひっぱる。
仁子 「ごめん、こっち……」
照 「あはは~、にこちゃんが照れちゃった」
照 「ちょっと内緒バナシしてくるね~」
仁子がひっぱる形で、照とふたりで教室をあとに。
だけど、照はさりげなく仁子の腰に手を添えて(実際には触れてないけど、慌てる仁子がいつ転んでも支えられるように)エスコート。
そんな二人の背中を見送って、亜子と実子はボソッと。
亜子 「王子、にこちゃんのことめっちゃ好きじゃね?」
実子 「嫉妬する気も起きないわ」 呆れて苦笑
○学校・人気のない階段の踊り場。
息切れしている仁子と、余裕綽々の照。
仁子 「て、照くん、私たちって……」
照 「ペットと主人って言うより、無難かなって」
仁子 (たしかに……!)
照 「俺は別に言ってもいいんだけどね?」
照 「ご主人様はどっちがいい?」
照、自分のことを指さして。
照 「ペットな俺と、彼氏な俺♡」
仁子 (さすがにペットとは言えない!)
仁子 「そ、それじゃあ……彼氏で……」
照 「りょうかーい♡」
照 「それじゃあ、俺のかわいい彼女さん、教室もどろっか」
照、手を繋ごうとばかりに差し出してくる。
仁子 「手、繋ぐの?」
照 「だって、彼氏彼女なら普通でしょ?」
仁子 「そ、そうなのかな……」
照 「そーだよ♡」
渋々、仁子は照の手を繋ぐ。照はすっごく嬉しそう。
仁子 (あれ……自然と二択しかない感じになったけど)
仁子 (普通に『おともだち』とかでもよかったのでは?)
そんな仁子と照を、物陰からこっそり覗いているミニスカ美少女の影あり。
美少女、悔しそうに爪を噛む。
○お昼休み。教室。
クラスメイトの視線を一身に浴びる仁子。
しかし亜子が睨みをきかせているため、誰も近寄ってこれない。
そんな亜子をよそに、実子がマイペースに仁子に話しかけてくる。
実子 「にこちゃんは王子と食べなくていいの?」
実子 「彼氏なんだから王子が奢ってくれるんじゃない?」
鳳来財閥の御曹司なんだし、と実子からの質問に、
今日も四角いお弁当箱(未開封)仁子は「ははは……」と乾いた笑いで視線を逸らす。
仁子 (照くんのお昼も、私が作ってるんだよなー)
現在の照くん、中庭でおにぎり咥えて、通りすがりの生徒をデッサン中。
仁子 (食べやすいように、おにぎりにはしたけどさ)
仁子 (でも……)
仁子 「照くんにもね、お昼いっしょに食べようとは、誘われたんだ」
仁子 「でも……あの、あのね」
おずおずと切り出す仁子に、亜子と実子は「?」と向く。
仁子 「私が、あこちゃんとみこちゃんと、お昼食べたいなぁって」
仁子 「一緒に、おひる食べてくれてありがとう……」
仁子 「今日だけでなく、今までも……」
恥ずかしそうにはにかむ仁子に、亜子と実子はきゅ~ん♡
亜子は仁子に抱きつき、実子は仁子の頭を撫でる。
亜子 「にこちゃんかわいい!」
実子 「いいこだね。ずっと仲良くしようね」
仁子 「……うん!」うれしい
仁子 「それじゃあ、食べよっか……」
テレをごまかすように、仁子はお弁当箱を開ける。
亜子 「今日は唐揚げたくさん詰めてもらったんだ」
実子 「あたしもたまにはお弁当にしようかな……分けやすいよね」
亜子はおかずたくさんのお弁当を広げて、実子はパンを開けながら思案。
そして、仁子のお弁当はいつもの日の丸弁当……と思いきや、
仁子 「えっ……?」
なんと、いつものお弁当箱の中には、
とってもおいしそうな餃子がびっしり詰まっていた。
亜子 「うわ、臭いキツっ」
実子 「これ、にこちゃん作ったの?」
その質問に、首をふるふる横に振る仁子。
仁子 (でも、これ……)
仁子がぎょうざをパクッと食べる。亜子と実子はびっくり。
仁子はあまりのおいしさに、おめめキラキラ。
仁子 「これ、にんにく使ってないです! ニラがたくさん!」
仁子 「すっごくおいしい~♡」ほっぺた落ちそうな満面の笑み
実子 「なにその中途半端な女子高校生仕様……」
亜子 「うわ、マジでうんまっ!」
実子 「あんたも食べんなし……て、本当に食べやすいね、これ」
なんて言いながら、なんやかんや三人で餃子を食べる。
その様子を教室の外から眺めて、ニヤリと口角をあげているミニスカ美少女。
(この段階では、黒ずくめで)
○授業中・教室
その後、仁子が授業中に教科書を開けば、
仁子が書いた覚えのないメモ書きがびっしりで驚く仁子。
「ここ当てられるかも!?」とかわいいイラスト付き。
先生 「美甘! 次を答えろ!」
仁子 「は、はい、源義経は――……」
仁子 (本当に当たった!?)
本当にそこを聞かれ、仁子はびっくり。
○また別の休憩時間。
亜子と実子と仁子、三人でトイレからの帰り。
亜子 「にこちゃん今日日直だっけ?」
実子 「滝セン筆圧強すぎて、消すのだるいんだよねぇ――」
だけど教室に入ると、黒板はぴっかぴか。
実子 「にこちゃん、いつの間に消した……?」
仁子 「いえ……私はぜんぜん……」
亜子 「誰が消したんだ、これ!?」
ボウズ「おれもわかんない……」亜子に襟首掴まれる巻き込まれボウズくん。
○放課後・裏庭の花壇へ。
仁子はジャージ。園芸するためのバケツやスコップを持っている。
実子 「にこちゃん、こんな雑用もしてんの!?」
仁子 「クラス委員だから……」
亜子 「クラス委員は担任の雑用係じゃねーよ!!」
仁子 「でも、お花のお手入れは楽しいよ?」
仁子 「うちじゃ……育てる場所もないし……」しょぼ。
仁子を抱きしめる亜子と実子。
仁子 「あっ」
だけど仁子の視線の先には、お手入れするまでもない見事なバラ園が。
そんな三人の様子を、教室の窓から冷たい顔で見下ろしている照。
仁子たちの背後にいる、彼女たちの様子をほくそ笑む影を見据えて。
○下校時・帰り道。
三人で下校中。
亜子 「なんだよ、この嫌がらせのような感謝しかないやつ!!」
実子 「にこちゃんの日頃の行いがいいからじゃない?」
実子 「にこちゃんは今日もバイト?」
仁子 「うん」
分かれ道にて、
「がんばってねー!」と手を振られ、亜子実子に手を振り返す仁子。
ひとりになって、少し寂しい。
仁子 (たしかに、嬉しいような奇妙な一日だったなぁ)
照 「にーこちゃん♡」
後ろから「だーれだ」をされて、振り返る仁子。
仁子 「照くん……」
照 「バイト先まで送るよ」
仁子 「でも、うちとは方向が……」
照 「まあまあ」
照 「ちょーっと俺、気になることがあるんだよね」
ちらっと背後を見ては、黒い影。
仁子 「照くん?」
照 「ううん。なんでもない♡」にっこり
○しばらく歩いて。
ずっと二人のあとをつける影に気がついている照。
照 「……ごめん、にこちゃん。ここからひとりで行けるよね?」
仁子 「それはもちろん」
照 「お迎えにはちゃんと行くから。廃棄弁当、今日も楽しみにしているね」にっこり
仁子 「はい……」
仁子 (照くん、自分のお金でちゃんとしたの買えばいいのにな……)
訝しげに思いながらも、先に行く仁子。
だけど、ちらりと振り返ったときの照の横顔が、とても険しいものだった。
仁子が角を曲がってから。
照 「さて……」
照 「いい加減、出てきたらどうだ?」
照、いつもより低い声。
その呼びかけに、電柱の影から出てくるのがミニスカ美少女。
彼女がムッとしたまま、照をにらみつける。
ため息をつく照。
照 「やっぱりおまえか……」
照 「俺に絡んでくるなら構わないが、なぜ彼女に絡む?」
ミニスカ 「そりゃあ、あなたが悪いんでしょう?」
ミニスカ 「アタシを捨てて、新しい女と暮らし始めるから――」迫真の涙
仁子 「えっ……?」
戻ってきていた仁子。ミニスカの発現に鞄を落とす。
照 「にこちゃん、なんで戻ってきたの!?」
仁子 「だって……照くんの様子がいつもと違っていたから……」
仁子 「やっぱり、心配で……」
ミニスカ 「ポッと出の女が、いっちょ前に彼女気取りですかぁ~?」
煽るような口調で、ミニスカは照の腕を組む。
ミニスカ 「アタシ、彼の許嫁なの」
ミニスカ 「庶民が邪魔しないでくれる?」
仁子 「えっ……?」
4話、おしまい。
照 「俺、にこちゃんと付き合ってるんだ♡」
照の爆弾発言に、仁子はびっくり。
クラスメイトも騒然。
仁子、照をひっぱる。
仁子 「ごめん、こっち……」
照 「あはは~、にこちゃんが照れちゃった」
照 「ちょっと内緒バナシしてくるね~」
仁子がひっぱる形で、照とふたりで教室をあとに。
だけど、照はさりげなく仁子の腰に手を添えて(実際には触れてないけど、慌てる仁子がいつ転んでも支えられるように)エスコート。
そんな二人の背中を見送って、亜子と実子はボソッと。
亜子 「王子、にこちゃんのことめっちゃ好きじゃね?」
実子 「嫉妬する気も起きないわ」 呆れて苦笑
○学校・人気のない階段の踊り場。
息切れしている仁子と、余裕綽々の照。
仁子 「て、照くん、私たちって……」
照 「ペットと主人って言うより、無難かなって」
仁子 (たしかに……!)
照 「俺は別に言ってもいいんだけどね?」
照 「ご主人様はどっちがいい?」
照、自分のことを指さして。
照 「ペットな俺と、彼氏な俺♡」
仁子 (さすがにペットとは言えない!)
仁子 「そ、それじゃあ……彼氏で……」
照 「りょうかーい♡」
照 「それじゃあ、俺のかわいい彼女さん、教室もどろっか」
照、手を繋ごうとばかりに差し出してくる。
仁子 「手、繋ぐの?」
照 「だって、彼氏彼女なら普通でしょ?」
仁子 「そ、そうなのかな……」
照 「そーだよ♡」
渋々、仁子は照の手を繋ぐ。照はすっごく嬉しそう。
仁子 (あれ……自然と二択しかない感じになったけど)
仁子 (普通に『おともだち』とかでもよかったのでは?)
そんな仁子と照を、物陰からこっそり覗いているミニスカ美少女の影あり。
美少女、悔しそうに爪を噛む。
○お昼休み。教室。
クラスメイトの視線を一身に浴びる仁子。
しかし亜子が睨みをきかせているため、誰も近寄ってこれない。
そんな亜子をよそに、実子がマイペースに仁子に話しかけてくる。
実子 「にこちゃんは王子と食べなくていいの?」
実子 「彼氏なんだから王子が奢ってくれるんじゃない?」
鳳来財閥の御曹司なんだし、と実子からの質問に、
今日も四角いお弁当箱(未開封)仁子は「ははは……」と乾いた笑いで視線を逸らす。
仁子 (照くんのお昼も、私が作ってるんだよなー)
現在の照くん、中庭でおにぎり咥えて、通りすがりの生徒をデッサン中。
仁子 (食べやすいように、おにぎりにはしたけどさ)
仁子 (でも……)
仁子 「照くんにもね、お昼いっしょに食べようとは、誘われたんだ」
仁子 「でも……あの、あのね」
おずおずと切り出す仁子に、亜子と実子は「?」と向く。
仁子 「私が、あこちゃんとみこちゃんと、お昼食べたいなぁって」
仁子 「一緒に、おひる食べてくれてありがとう……」
仁子 「今日だけでなく、今までも……」
恥ずかしそうにはにかむ仁子に、亜子と実子はきゅ~ん♡
亜子は仁子に抱きつき、実子は仁子の頭を撫でる。
亜子 「にこちゃんかわいい!」
実子 「いいこだね。ずっと仲良くしようね」
仁子 「……うん!」うれしい
仁子 「それじゃあ、食べよっか……」
テレをごまかすように、仁子はお弁当箱を開ける。
亜子 「今日は唐揚げたくさん詰めてもらったんだ」
実子 「あたしもたまにはお弁当にしようかな……分けやすいよね」
亜子はおかずたくさんのお弁当を広げて、実子はパンを開けながら思案。
そして、仁子のお弁当はいつもの日の丸弁当……と思いきや、
仁子 「えっ……?」
なんと、いつものお弁当箱の中には、
とってもおいしそうな餃子がびっしり詰まっていた。
亜子 「うわ、臭いキツっ」
実子 「これ、にこちゃん作ったの?」
その質問に、首をふるふる横に振る仁子。
仁子 (でも、これ……)
仁子がぎょうざをパクッと食べる。亜子と実子はびっくり。
仁子はあまりのおいしさに、おめめキラキラ。
仁子 「これ、にんにく使ってないです! ニラがたくさん!」
仁子 「すっごくおいしい~♡」ほっぺた落ちそうな満面の笑み
実子 「なにその中途半端な女子高校生仕様……」
亜子 「うわ、マジでうんまっ!」
実子 「あんたも食べんなし……て、本当に食べやすいね、これ」
なんて言いながら、なんやかんや三人で餃子を食べる。
その様子を教室の外から眺めて、ニヤリと口角をあげているミニスカ美少女。
(この段階では、黒ずくめで)
○授業中・教室
その後、仁子が授業中に教科書を開けば、
仁子が書いた覚えのないメモ書きがびっしりで驚く仁子。
「ここ当てられるかも!?」とかわいいイラスト付き。
先生 「美甘! 次を答えろ!」
仁子 「は、はい、源義経は――……」
仁子 (本当に当たった!?)
本当にそこを聞かれ、仁子はびっくり。
○また別の休憩時間。
亜子と実子と仁子、三人でトイレからの帰り。
亜子 「にこちゃん今日日直だっけ?」
実子 「滝セン筆圧強すぎて、消すのだるいんだよねぇ――」
だけど教室に入ると、黒板はぴっかぴか。
実子 「にこちゃん、いつの間に消した……?」
仁子 「いえ……私はぜんぜん……」
亜子 「誰が消したんだ、これ!?」
ボウズ「おれもわかんない……」亜子に襟首掴まれる巻き込まれボウズくん。
○放課後・裏庭の花壇へ。
仁子はジャージ。園芸するためのバケツやスコップを持っている。
実子 「にこちゃん、こんな雑用もしてんの!?」
仁子 「クラス委員だから……」
亜子 「クラス委員は担任の雑用係じゃねーよ!!」
仁子 「でも、お花のお手入れは楽しいよ?」
仁子 「うちじゃ……育てる場所もないし……」しょぼ。
仁子を抱きしめる亜子と実子。
仁子 「あっ」
だけど仁子の視線の先には、お手入れするまでもない見事なバラ園が。
そんな三人の様子を、教室の窓から冷たい顔で見下ろしている照。
仁子たちの背後にいる、彼女たちの様子をほくそ笑む影を見据えて。
○下校時・帰り道。
三人で下校中。
亜子 「なんだよ、この嫌がらせのような感謝しかないやつ!!」
実子 「にこちゃんの日頃の行いがいいからじゃない?」
実子 「にこちゃんは今日もバイト?」
仁子 「うん」
分かれ道にて、
「がんばってねー!」と手を振られ、亜子実子に手を振り返す仁子。
ひとりになって、少し寂しい。
仁子 (たしかに、嬉しいような奇妙な一日だったなぁ)
照 「にーこちゃん♡」
後ろから「だーれだ」をされて、振り返る仁子。
仁子 「照くん……」
照 「バイト先まで送るよ」
仁子 「でも、うちとは方向が……」
照 「まあまあ」
照 「ちょーっと俺、気になることがあるんだよね」
ちらっと背後を見ては、黒い影。
仁子 「照くん?」
照 「ううん。なんでもない♡」にっこり
○しばらく歩いて。
ずっと二人のあとをつける影に気がついている照。
照 「……ごめん、にこちゃん。ここからひとりで行けるよね?」
仁子 「それはもちろん」
照 「お迎えにはちゃんと行くから。廃棄弁当、今日も楽しみにしているね」にっこり
仁子 「はい……」
仁子 (照くん、自分のお金でちゃんとしたの買えばいいのにな……)
訝しげに思いながらも、先に行く仁子。
だけど、ちらりと振り返ったときの照の横顔が、とても険しいものだった。
仁子が角を曲がってから。
照 「さて……」
照 「いい加減、出てきたらどうだ?」
照、いつもより低い声。
その呼びかけに、電柱の影から出てくるのがミニスカ美少女。
彼女がムッとしたまま、照をにらみつける。
ため息をつく照。
照 「やっぱりおまえか……」
照 「俺に絡んでくるなら構わないが、なぜ彼女に絡む?」
ミニスカ 「そりゃあ、あなたが悪いんでしょう?」
ミニスカ 「アタシを捨てて、新しい女と暮らし始めるから――」迫真の涙
仁子 「えっ……?」
戻ってきていた仁子。ミニスカの発現に鞄を落とす。
照 「にこちゃん、なんで戻ってきたの!?」
仁子 「だって……照くんの様子がいつもと違っていたから……」
仁子 「やっぱり、心配で……」
ミニスカ 「ポッと出の女が、いっちょ前に彼女気取りですかぁ~?」
煽るような口調で、ミニスカは照の腕を組む。
ミニスカ 「アタシ、彼の許嫁なの」
ミニスカ 「庶民が邪魔しないでくれる?」
仁子 「えっ……?」
4話、おしまい。