○夜・仁子の家
仁子が正座して、照に説教されている。
照 「そもそも、いくらお金があっても、高校生がひとりでホテルに泊まれないからね?」
照 「保護者の連絡先を必ず聞かれるよ!」
仁子 「はあ……」
照 「あと、もちろん賃貸なんてもっと不可」
照 「保証人とか必要じゃん」
仁子 「私は、高校生で独り暮らししてますが……」おずおず挙手
照 「契約者はお父さんになっているはずだよ。そういえば、家賃は誰が払っているの?」
仁子 「…………」
少しむくれた様子で、視線を逸らす仁子。
それに、深入りしない方がいいと察した照が「そんなことより!」と仁子にノートを差し出す。
照 「今日の俺の成果です!」
仁子 「謹んで、拝読させていただきます」
ネームノートを受けとり、ペラペラと捲る仁子。
最初は「おお!?」と。次第に「ふふっ」と笑いだす。
そんな仁子の様子に、照もどや顔なんだけど……。
だんだんと、仁子の表情が曇っていく。
仁子 「待って?」
仁子 「これギャグマンガじゃないんですか!?」
照 「うん……少女マンガのつもりだったんだけど……」もじもじ
照のネームノートを読みながら、驚愕する仁子。
仁子は何度も何度も読み直す。
仁子 「まぁ、絵柄次第でそうとも読めるか……」
仁子 「ちなみに、照くん絵は得意なんですか?」
照 「もちろん!」
サラサラッとノートに女の子の顔を描く照。
それをのぞき込む仁子。
仁子 「うまっ!」
びっくりする仁子に、照は得意顔。
男の子の顔も上手だし、老若男女の描き分けも様々な角度で描ける。
背景も上手。
仁子 (だけど、妙に違和感があるぞ……?)
仁子 「ちなみに、他の女の子も描けますか?」
ギクッとした様子で、再び女の子を描く照。
だけど、髪色を黒くしただけで、ほとんど同一人物。
仁子 「……照くん?」
照 「いやぁ、描きやすい顔ってあるよね?」ごまかし笑い
仁子 「モブまで全員ドッペルゲンガーって、それはホラーマンガなんだわ!」
だけど仁子のツッコミを、照はサラッとかわす。
照 「意外! ご主人様ってそういう喋り方もするんだね!」
思わず素が出て、恥ずかしくなった仁子。
ふといじわるを言いたくなる。
仁子 「……ご主人様ご主人様って、私の名前ご存知ないでしょう?」
照 「知ってるよ、同じクラスだもん」
照 「日の丸弁当の、にこちゃん」
甘いフェイスで微笑まれて、ドキッとする仁子。
照 「昼休みのたびに、みんなで盛り上がってるよね」にこにこ
仁子 (あれは盛り上がっているというのかな?)
1話のお昼休みで、やいのやいのしていた図
照 「いつもおいしそうに梅干し食べてる」
仁子 (そんな恥ずかしいとこ、見てないでよ…////)
気を取り直して、仁子は「こほん」と咳払い。
仁子 「とにかく、明日から学校に行きますよ」
照 「でも、ネームできたなら原稿を――」
仁子 「学校には同じ女子高生でも、多くのパターンが観察し放題です」
仁子 「一日百人の模写、できますよね?」
仁子 「本気でプロになりたいなら!」
生唾飲み込む照。
○翌日の休み時間・学校
モブ子 「わぁ、照くんって絵も上手~」
モブ子 「わたしも描いて~」
照 「次は男の子描きたいから待ってー」
と、またひとりデッサンを完成させながら、通りすがったボウズくんに手を伸ばす照。
照 「あ、ちょっと止まって! そのボウズ頭を模写させて!」
モブ男 「ガチで男も描くのかよっ!」
男女問わず、照のまわりは和気藹々。
それを尻目に、ひとり勉強する仁子。
仁子 (やっぱり照くんはすごいなぁ)
仁子 (あんな堂々と絵を描けるんだ……)
すると、ギャルふたりがまたもや仁子に話しかけてくる。
女子1「いきなり来たかと思えば、王子はやっぱり人気者だな」
女子2「てか、マンガ描くってマジだったんだ……」
女子2「この前は悪いこと言っちゃったね」
仁子 (なぜいつも私に話しかけてくるの!?)こわい……
女子1「にこちゃんは休み時間も勉強?」
女子2「特待生は大変だね~」
仁子 「……成績落ちたら、奨学金もらえないですから」
女子1「そんなに勉強して何になりたいの?」
仁子 「………………高卒で公務員」ぼそっと
女子1「えぇ!? そんなに勉強して、大学いかないの!?」
女子2「そもそもコームインって……具体的に何したいとかは?」
仁子 「なんでもいいんです。安定した収入をもらえれば」
仁子 「うち、お金ないし」
諦めたように笑う仁子。
仁子 「あんなお父さんに、頼りたくないし」ぼそっ
仁子はクラスメイトとワイワイとしながらも、
真剣に絵を描く照を見つめる。
モブ男 「そもそも、なんで絵?」
照 「漫画家になるから~」
モブ女 「えぇ~うそ~??」わいわい
照 「ほんと~。俺、本気なんだよ~」ニコニコ
仁子 (照くん、もう堂々と漫画家になるって言えるようになったんだね)
仁子 (恥ずかしいな……)
仁子 (照くんは、あんなにも一生懸命なのに……)
仁子 (私には夢を追う資格がないどころか)
仁子 (夢すらない……)
視線を落とす仁子を、女子たちは「ふーん」と見つめる。
(立ち位置的に、見下しているように見える)
女子2「そういや、昨日は王子と――」
仁子 「あの……無理しなくていいです、よ?」
仁子 「わ、私なんかと話しても、楽しくないですよ、ね……?」
仁子が愛想笑いでそう言うと、ギャルたちはツンと冷めた顔。
女子1「なんかそれ……むかつく」
女子2「……がっかりだわ」
チャイムが鳴って、席に戻っていくギャルたち。
仁子はしょんぼりと視線を落とす。
デッサンしながら、そんな仁子をチラリと見る照。
○放課後・昇降口
照 「ご主人様はこれからバイト?」
仁子 「……はい、夕飯はまた廃棄弁当をもらってきますので」
仁子 (外でご主人様はやめて~!)
靴を履き替えながら、こそこそと話す二人。
照はひらひらと仁子に手を振ってから、「さて」と教室へと戻る。
そこには、ふてくされた様子のギャルふたりが。
照 「いいこと教えてあげよっか♡」
○夜・コンビニ
仁子 (やっぱり、私は照くんと違う世界の人なんだなぁ……)
ぼんやりとコンビニバイト中。
仁子 (私はクラスの人と、あんな楽しそうに話すことなんてできない)
仁子 (夢を追って家出して、あんな場所でマンガを描くことなんてできない)
仁子 (私って、ほんとつまらない人間だな……)
ぼんやりとゴミを捨てて、店内に戻ろうとしたとき。
店の前で、転んでしまう仁子。
出てきた客に笑われて、余計に泣きそうになってしまう。
そんなとき、誰かが助けに来てくれた影(読者に照かな、と思わせる)。
だけど、仁子の前に立つのは、ギャル二人。
女子1「笑ってんじゃねーよ! 誰だって転ぶときはあるだろ!」
女子2「大丈夫? バンソーコーあるよ」
女子2が、やたらかわいい絆創膏を仁子に張ってくれる。
仁子は座り込んだまま、目がうるうる。
仁子 「どうして……?」
仁子 「私、あんなひどいこと言ったのに……」
すると、ギャルたちはあっさりと自分を指さす。
女子1「あたし、亜子っていうの」
女子2「うちは実子」
亜子 「亜子に実子に仁子、これはもう仲良くなるっちゃなくない?」
実子 「同じクラスになったとき、まさに運命だと思ったよね」
あっけらかんと言われて、思わずきょとんとする仁子。
仁子 「……それだけ?」
亜子 「そ、そんだけ」
実子 「ともだちになりたいきっかけって、そんなもんでしょ」
それに、思わず仁子は噴き出してしまう。
仁子 「え、くだらなすぎる」
亜子 「くだらないとはひどいっしょ~」
あはは、と笑い合う三人。
それをノート片手に、影からノート片手に見守る照。
照 「あーあ、俺だけのご主人様じゃなくなっちゃった」
照 「ま、女の子相手の嫉妬は、男として醜いだけだよね」
優しい笑み。
○夜・仁子の家
仁子 「それで、スケッチ百人斬りできましたか!?」
照 「百人斬りはできなかったけど……」
照 「もっといい絵は描けたよ」
仁子 「なっ……!」
放課後の亜子と実子と仁子の笑い合っている絵に、仁子は赤面。
仁子 「見てたんですか!?」
照 「だって、あの子たちに、ご主人様のバイト先教えたの俺だし」
仁子 「よ、余計なことを……」
照 「そ? でも、これでヒロインと女友達のデザインは決まったよね」
照 「ギャルと清純派ヒロイン……これなら俺でも描き分けしやすい」
お弁当食べながらご満悦な照に、仁子はハッと気づく。
仁子 「もしかしてヒロインのキャラデザ、これで決定!?」
照 「うん。そうだよ」
仁子 「わ、私に似ている気がするのですが!?」
照 「うん。真面目で努力家でちょっと不器用な女の子」
照は伸ばした手を仁子の頬に添える。
照 「ご主人様は、俺のヒロインだからね」
仁子 「……///」
○翌朝・学校
亜子 「おはよー、にこちゃん」
実子 「昨日ぶり」
教室に入るそうそう二人から挨拶されて、固まる仁子。
立ちすくむ仁子の背中を、照がぽんとたたく。
仁子 「お、おはよ。あこちゃん、みこちゃん」
緊張ガチガチな仁子。
だけど、亜子と実子はうれしそうににんまり。
亜子 「ところでずっと気になってたんだけどさ」
亜子 「ふたりって付き合ってんの?」
仁子 (やばい、否定しなきゃ!)
仁子 (さすがに住む場所がない照くんを拾ったなんて言えないし)
仁子 (照くんに迷惑をかけるわけには――)
照 「うん、そーだよ♡」にっこり
仁子 「!!!!????」びっくり驚愕。
照 「俺たちラブラブなの~」
照 「ね、にこちゃん?」
照にほっぺとほっぺをくっつけられて、「ええええええ!?」となる仁子。
3話、おしまい。
仁子が正座して、照に説教されている。
照 「そもそも、いくらお金があっても、高校生がひとりでホテルに泊まれないからね?」
照 「保護者の連絡先を必ず聞かれるよ!」
仁子 「はあ……」
照 「あと、もちろん賃貸なんてもっと不可」
照 「保証人とか必要じゃん」
仁子 「私は、高校生で独り暮らししてますが……」おずおず挙手
照 「契約者はお父さんになっているはずだよ。そういえば、家賃は誰が払っているの?」
仁子 「…………」
少しむくれた様子で、視線を逸らす仁子。
それに、深入りしない方がいいと察した照が「そんなことより!」と仁子にノートを差し出す。
照 「今日の俺の成果です!」
仁子 「謹んで、拝読させていただきます」
ネームノートを受けとり、ペラペラと捲る仁子。
最初は「おお!?」と。次第に「ふふっ」と笑いだす。
そんな仁子の様子に、照もどや顔なんだけど……。
だんだんと、仁子の表情が曇っていく。
仁子 「待って?」
仁子 「これギャグマンガじゃないんですか!?」
照 「うん……少女マンガのつもりだったんだけど……」もじもじ
照のネームノートを読みながら、驚愕する仁子。
仁子は何度も何度も読み直す。
仁子 「まぁ、絵柄次第でそうとも読めるか……」
仁子 「ちなみに、照くん絵は得意なんですか?」
照 「もちろん!」
サラサラッとノートに女の子の顔を描く照。
それをのぞき込む仁子。
仁子 「うまっ!」
びっくりする仁子に、照は得意顔。
男の子の顔も上手だし、老若男女の描き分けも様々な角度で描ける。
背景も上手。
仁子 (だけど、妙に違和感があるぞ……?)
仁子 「ちなみに、他の女の子も描けますか?」
ギクッとした様子で、再び女の子を描く照。
だけど、髪色を黒くしただけで、ほとんど同一人物。
仁子 「……照くん?」
照 「いやぁ、描きやすい顔ってあるよね?」ごまかし笑い
仁子 「モブまで全員ドッペルゲンガーって、それはホラーマンガなんだわ!」
だけど仁子のツッコミを、照はサラッとかわす。
照 「意外! ご主人様ってそういう喋り方もするんだね!」
思わず素が出て、恥ずかしくなった仁子。
ふといじわるを言いたくなる。
仁子 「……ご主人様ご主人様って、私の名前ご存知ないでしょう?」
照 「知ってるよ、同じクラスだもん」
照 「日の丸弁当の、にこちゃん」
甘いフェイスで微笑まれて、ドキッとする仁子。
照 「昼休みのたびに、みんなで盛り上がってるよね」にこにこ
仁子 (あれは盛り上がっているというのかな?)
1話のお昼休みで、やいのやいのしていた図
照 「いつもおいしそうに梅干し食べてる」
仁子 (そんな恥ずかしいとこ、見てないでよ…////)
気を取り直して、仁子は「こほん」と咳払い。
仁子 「とにかく、明日から学校に行きますよ」
照 「でも、ネームできたなら原稿を――」
仁子 「学校には同じ女子高生でも、多くのパターンが観察し放題です」
仁子 「一日百人の模写、できますよね?」
仁子 「本気でプロになりたいなら!」
生唾飲み込む照。
○翌日の休み時間・学校
モブ子 「わぁ、照くんって絵も上手~」
モブ子 「わたしも描いて~」
照 「次は男の子描きたいから待ってー」
と、またひとりデッサンを完成させながら、通りすがったボウズくんに手を伸ばす照。
照 「あ、ちょっと止まって! そのボウズ頭を模写させて!」
モブ男 「ガチで男も描くのかよっ!」
男女問わず、照のまわりは和気藹々。
それを尻目に、ひとり勉強する仁子。
仁子 (やっぱり照くんはすごいなぁ)
仁子 (あんな堂々と絵を描けるんだ……)
すると、ギャルふたりがまたもや仁子に話しかけてくる。
女子1「いきなり来たかと思えば、王子はやっぱり人気者だな」
女子2「てか、マンガ描くってマジだったんだ……」
女子2「この前は悪いこと言っちゃったね」
仁子 (なぜいつも私に話しかけてくるの!?)こわい……
女子1「にこちゃんは休み時間も勉強?」
女子2「特待生は大変だね~」
仁子 「……成績落ちたら、奨学金もらえないですから」
女子1「そんなに勉強して何になりたいの?」
仁子 「………………高卒で公務員」ぼそっと
女子1「えぇ!? そんなに勉強して、大学いかないの!?」
女子2「そもそもコームインって……具体的に何したいとかは?」
仁子 「なんでもいいんです。安定した収入をもらえれば」
仁子 「うち、お金ないし」
諦めたように笑う仁子。
仁子 「あんなお父さんに、頼りたくないし」ぼそっ
仁子はクラスメイトとワイワイとしながらも、
真剣に絵を描く照を見つめる。
モブ男 「そもそも、なんで絵?」
照 「漫画家になるから~」
モブ女 「えぇ~うそ~??」わいわい
照 「ほんと~。俺、本気なんだよ~」ニコニコ
仁子 (照くん、もう堂々と漫画家になるって言えるようになったんだね)
仁子 (恥ずかしいな……)
仁子 (照くんは、あんなにも一生懸命なのに……)
仁子 (私には夢を追う資格がないどころか)
仁子 (夢すらない……)
視線を落とす仁子を、女子たちは「ふーん」と見つめる。
(立ち位置的に、見下しているように見える)
女子2「そういや、昨日は王子と――」
仁子 「あの……無理しなくていいです、よ?」
仁子 「わ、私なんかと話しても、楽しくないですよ、ね……?」
仁子が愛想笑いでそう言うと、ギャルたちはツンと冷めた顔。
女子1「なんかそれ……むかつく」
女子2「……がっかりだわ」
チャイムが鳴って、席に戻っていくギャルたち。
仁子はしょんぼりと視線を落とす。
デッサンしながら、そんな仁子をチラリと見る照。
○放課後・昇降口
照 「ご主人様はこれからバイト?」
仁子 「……はい、夕飯はまた廃棄弁当をもらってきますので」
仁子 (外でご主人様はやめて~!)
靴を履き替えながら、こそこそと話す二人。
照はひらひらと仁子に手を振ってから、「さて」と教室へと戻る。
そこには、ふてくされた様子のギャルふたりが。
照 「いいこと教えてあげよっか♡」
○夜・コンビニ
仁子 (やっぱり、私は照くんと違う世界の人なんだなぁ……)
ぼんやりとコンビニバイト中。
仁子 (私はクラスの人と、あんな楽しそうに話すことなんてできない)
仁子 (夢を追って家出して、あんな場所でマンガを描くことなんてできない)
仁子 (私って、ほんとつまらない人間だな……)
ぼんやりとゴミを捨てて、店内に戻ろうとしたとき。
店の前で、転んでしまう仁子。
出てきた客に笑われて、余計に泣きそうになってしまう。
そんなとき、誰かが助けに来てくれた影(読者に照かな、と思わせる)。
だけど、仁子の前に立つのは、ギャル二人。
女子1「笑ってんじゃねーよ! 誰だって転ぶときはあるだろ!」
女子2「大丈夫? バンソーコーあるよ」
女子2が、やたらかわいい絆創膏を仁子に張ってくれる。
仁子は座り込んだまま、目がうるうる。
仁子 「どうして……?」
仁子 「私、あんなひどいこと言ったのに……」
すると、ギャルたちはあっさりと自分を指さす。
女子1「あたし、亜子っていうの」
女子2「うちは実子」
亜子 「亜子に実子に仁子、これはもう仲良くなるっちゃなくない?」
実子 「同じクラスになったとき、まさに運命だと思ったよね」
あっけらかんと言われて、思わずきょとんとする仁子。
仁子 「……それだけ?」
亜子 「そ、そんだけ」
実子 「ともだちになりたいきっかけって、そんなもんでしょ」
それに、思わず仁子は噴き出してしまう。
仁子 「え、くだらなすぎる」
亜子 「くだらないとはひどいっしょ~」
あはは、と笑い合う三人。
それをノート片手に、影からノート片手に見守る照。
照 「あーあ、俺だけのご主人様じゃなくなっちゃった」
照 「ま、女の子相手の嫉妬は、男として醜いだけだよね」
優しい笑み。
○夜・仁子の家
仁子 「それで、スケッチ百人斬りできましたか!?」
照 「百人斬りはできなかったけど……」
照 「もっといい絵は描けたよ」
仁子 「なっ……!」
放課後の亜子と実子と仁子の笑い合っている絵に、仁子は赤面。
仁子 「見てたんですか!?」
照 「だって、あの子たちに、ご主人様のバイト先教えたの俺だし」
仁子 「よ、余計なことを……」
照 「そ? でも、これでヒロインと女友達のデザインは決まったよね」
照 「ギャルと清純派ヒロイン……これなら俺でも描き分けしやすい」
お弁当食べながらご満悦な照に、仁子はハッと気づく。
仁子 「もしかしてヒロインのキャラデザ、これで決定!?」
照 「うん。そうだよ」
仁子 「わ、私に似ている気がするのですが!?」
照 「うん。真面目で努力家でちょっと不器用な女の子」
照は伸ばした手を仁子の頬に添える。
照 「ご主人様は、俺のヒロインだからね」
仁子 「……///」
○翌朝・学校
亜子 「おはよー、にこちゃん」
実子 「昨日ぶり」
教室に入るそうそう二人から挨拶されて、固まる仁子。
立ちすくむ仁子の背中を、照がぽんとたたく。
仁子 「お、おはよ。あこちゃん、みこちゃん」
緊張ガチガチな仁子。
だけど、亜子と実子はうれしそうににんまり。
亜子 「ところでずっと気になってたんだけどさ」
亜子 「ふたりって付き合ってんの?」
仁子 (やばい、否定しなきゃ!)
仁子 (さすがに住む場所がない照くんを拾ったなんて言えないし)
仁子 (照くんに迷惑をかけるわけには――)
照 「うん、そーだよ♡」にっこり
仁子 「!!!!????」びっくり驚愕。
照 「俺たちラブラブなの~」
照 「ね、にこちゃん?」
照にほっぺとほっぺをくっつけられて、「ええええええ!?」となる仁子。
3話、おしまい。