「・・・・ハァッ・・・ハァッ・・・」


定光の唇がソッ···と離れた後、苦しくなっていた身体にやっと気付き、酸素を求めて空気を吸っていく。


「か・・・・・・」


定光がそんな私のことをすぐ近くで見下ろし、”か“と言ってきた。


「か・・・・?」


「か・・・・・」


「か?」


「か・・・・・」


「・・・・・。」


「・・・・・。」


よく分からず定光のことを見詰め続けていると、定光が苦しそうに顔を歪め・・・


裸の私の身体に倒れ込んできた。


「ダメだ・・・・っっ!!!
やっぱり、ダメだ・・・・っっ!!!
こんなはずじゃなかった・・・・!!!
思ってたのと違う・・・・・!!!
思ってたのと全然違った・・・・!!!」


そんな叫びには凄くショックを受け、凄く苦しくなってきて・・・。


「キス・・・初めてで・・・、どうやってすればよかったのかな・・・、上手く出来なくて、ごめんね・・・?」


「・・・・・・そんなことないよ。」


「やっぱり・・・やっぱり、私とは違ったよね・・・。
私のことは”そういう対象“とは違ったよね・・・?」


「・・・そんなことない。」


「そっか・・・。」


「うん・・・。」


”そんなことない“という言葉で慰めてくれる定光の洋服からゆっくりと両手を離し、その手で定光の肩を少しだけ押した。


「結婚なんてしなくてもいいよ。
心はちゃんと結ばれてる。
それに私達には可愛い男の子が4人もいるからね。
これからも”パパ“と”ママ“としてずっと一緒にいよう?」


私の顔を見てくれることはない、私の身体の上に倒れているままの定光にそう言った。


凄く凄く苦しいけれど、そう言った。


そしたら・・・


「どうやって・・・”可愛い“って言うんだったけ・・・?」


今度は定光がそう言ってきて、それには小さく笑った。