「頷いてたのに・・・。
私は“みっちゃん”からの言葉に、ちゃんと頷いて・・・私も“みっちゃん”とずっと一緒にいるつもりだったのに・・・。」


「俺には見えなかった・・・。
いつも愛姉の身体に顔を押し付けていたから、愛姉が頷いていたのなんて知らなかった・・・。
俺が従弟だからだと思ってた・・・。
弟でもなく従弟だから、愛姉は応えてくれないんだと思ってた・・・。
ずっと・・・ずっと、お姉様達が教えた愛の言葉を好きなはずの俺に言わないのは、俺が従弟だからだという答えしか出てこなかった。
まさか・・・お姉様達から俺のことを守る為だなんて、思いもしなかった・・・。」


そう言われ・・・


その通りのことを言われて・・・。


でも、定光と心が結ばれた今なら分かる。


「私も、自分の中でそんな言い訳をしていたんだと思う・・・。
今なら分かるけど、それは言い訳なんだと思う・・・。」


「本当のところは違うの・・・?」


「うん・・・たぶん・・・。」


「なに・・・?教えて・・・?
知りたい・・・。」


定光が私の唇をこんなに近くから見下ろしてくる。


それには凄く凄くドキドキとしながらも、答えた。


「私は・・・全然可愛くないから・・・。
あのお母さんの娘で、あのお姉ちゃん達の妹とは思えないくらい、全然可愛くなくて・・・。
あんな愛の言葉を私なんかが口に出来ないと昔から思ってて・・・。
それで・・・私にずっと一緒にいてと言ってくれていた“みっちゃん“が選んだ初めての彼女は、凄く可愛い女の子だった・・・。
凄く凄く・・・可愛い女の子で・・・私とは全然違った・・・。
あんなに可愛い彼女のことを抱き締めていたら・・・、キスやエッチもしていたら、私のことなんてもう・・・もう、抱き締めなくても良いよねって・・・っ、思ってた・・・っっ。
私なんかがあの愛の言葉を言ったとしても、定光は私にはキスやエッチなんて・・・・・・・・ンッ・・・・」


“キスやエッチなんてしてくれることはないと思ってた“
そう言おうとしていた私の口を、定光の口で塞がれた。


すぐそこにあった定光の口が、私の唇に触れ・・・


キスを・・・


キスを、私にしてくれてた・・・。