それには私もさっきよりも泣いた。
でも、泣きながらも自然と笑えている。


「大きくなったよな、みんな・・・。
そんなことまで俺に言ってくれるくらい大きく・・・。」


「あんなに小さくてフニャフニャで、少しでも目を離したら死んでしまうんじゃないかってくらい小さかったのにね・・・。」


「ミルクをちょっと吐き出したくらいなのに、愛花は”死んじゃう“ってパニックになってな?」


「うん・・・。」


「白いうんちが出たらすぐに病院に行かなきゃいけないっていう知識だけがあって、白いうんちが出たって泣きながらパニックになってな?」


「うん・・・。
オバサンもオジサンも”大丈夫“って言ってた中、19時以降も開けてくれている小児科に、まだ1ヶ月検診もしていなかった産まれたての赤ちゃんのことを定光が一緒に連れて行ってくれた・・・。」


「持っていったうんちのオムツを開いたら、普通のうんちで全員の時間が一瞬止まったよな〜。」


「1人目の子の時には生活リズムを作っていく為に、夕方5時から部屋の中を暗くし始めてたからよく見えてなかったみたい・・・。
赤ちゃんのうんちなんて初めて見るし、思ってたうんちと全然違ったし・・・。」


「あの薄暗い部屋の中でほとんど噛まずに順番でご飯を食べたね、懐かしい。」


「上の子は特に寝ない子でね。
抱っこじゃないと全然寝てくれなかった。」


「赤ちゃんって3時間おきにミルクを飲んで寝てるだけだと思ってたのに、思ってたのと違ったよね。」


「3時間が経つ前に泣いてるし、オムツも交換したし、抱っこもしてるのに全然泣き止まなくて。
それにミルクを飲んでも寝ないし、背中をトントンしてるのに1人目の子は特にゲップも出なかった。」


「吐き戻したらミルクが喉に詰まって死んじゃうって、ミルクの度に愛花が泣いて泣いて。」


「だって、あんなに小さかったんだもん。
あんなに小さいのに生きているのが不思議なくらいに小さかったから・・・。」


いつも私のことも子どものことも守ってくれていた定光と、あの頃のようにソファーに座りながら懐かしい話をしていく。


あの頃のようにクタクタでヘロヘロの姿ではないけれど、2人でソファーに座りあの頃の話をしていると、見えた。


いつも髪の毛を完璧にセットしている”みっちゃん“が、髪の毛をグジャグシャにしながら私に笑い掛けた懐かしい姿が。


「”愛花“。」


私のことを”愛姉“ではなく”愛花“と呼んで、長い長い夜を・・・


朝なんて来ないのではないかと思うくらい、長すぎる夜を2人で乗り越えようと必死になっていた時の、”みっちゃん“ではなく”定光“だと思った時の姿が・・・。


私が初めて、”みっちゃん“のこの手が小さな手ではなく、男の人の手になっているのだと気付いた時の顔が・・・。


他の女の子の所にも行ってしまうような、ヤリ◯ンだと自他共に認めているようなみっちゃんだけど、”私はこんな男の人と結婚がしたいな“と・・・。


そんな気持ちを抱いてしまった時の、”定光が“。


”俺も”パパ“になるから大丈夫だよ。
俺もこの子のパパとしてずっと一緒にいるから大丈夫だよ、愛花“


従姉の子どもなのに、”みっちゃん“はそんな言葉を私に言ってくれた。