指導してくれた社員さんの1つ目の指導はそれだった。
お姉ちゃん達がスタッフ達全員に求めている姿が、それだった。


この会社の女性社員は、全員何かしらの問題を抱えた家庭で育っていた人達で。
そういう人達がベビーシッターが出来るのか心配していた私に、お姉ちゃん達は愉快な顔で笑っていた。


“高校2年生だった愛花と高校1年生だったみっちゃんだって出来たことでしょ?”


その時はやっぱり心配しかなかったけれど、お姉ちゃん達が立ち上げたこの会社はこんなにも申し込みを頂けている。


こんなにも良くも悪くも評価をされているけれど、こんなにも依頼をされ、そして多くの感謝の言葉を貰える会社になった。


お世話をされていた子どもだった子達がよく遊びに来るくらいの、バイトまで始めるくらいの、きっと・・・きっと、良い会社になった。


「ずっと気付かなくてごめんね、お姉ちゃん。」


“女王様”であるお姉ちゃん達に謝り、そして・・・






















「こらぁぁぁっっっっ!!!!!
いくら弟のことが可愛いからって、パシリにしたりオモチャにしたらダメでしょぉぉぉぉ!!!!
みっちゃんは嫌がってるんだからね!?
泣きながら喜んでるんじゃなくて、本気で嫌がってるの!!!!
2人がやってることは可愛がってるんじゃなくて意地悪なことなの!!!!
もうぜっっっったいにやっちゃダメだからね!!!!?
いい!!?分かった!!!?
今言ったからね!?私今言ったよね!?
ねぇ、ニヤニヤしてないでちゃんと聞きなさいよ!!!!
次やったらもっと怒るからね!!!?
分かった!?分かった!?
分かった人は手を上げて!!!!!」


物凄くやんちゃな4人の男の子達を、どうしても我慢なんて出来ずにヒステリックに怒った時の私で、怒った。


そんな私にお姉ちゃん達は笑いを堪えた顔で、真っ直ぐと片手を上げていた。


この会社にいる美人で可愛い女性社員達が、私とずっと一緒にいると約束をしたみっちゃんのことを奪ったりなんてしないよう、あんな言葉でしか私のことを守れないようなお姉ちゃん達が、“妹”と”弟“にはこんなに歪んだ愛しか渡せないお姉ちゃん達が、大人しく手を上げていた。


「愛花は高校2年の頃から子育てをしてきた。
だから何を言われても、私達は愛花にここではベビーシッターの仕事はさせずに今後も雑用しかさせるつもりはないからね。
だから、子どものお世話がそんなに好きなら、そろそろ自分の本当の子どもも産みなさいよ?」


「お金と私達のスタッフならいくらでも差し出すから、従弟との子どもでも安心して産みなさいよ?」







·