定光が実家を出た後も、定光は子ども達にいつでも美容室に来るように言ってくれていた。
よく一人暮らしの家にも泊まらせてくれ、休みの日にはみんなと遊んでくれてもいて、昔みたいに参加することをしなくなった学校行事が終わった日には、必ず子ども達と会って頑張ったご褒美やお祝いもしてくれていた。


実家を出た後もちゃんと、定光は子ども達が愛を知っている大人になれるフォローをしてくれていた。


「私はお姉ちゃんの本当の妹なのに、気付かなくてごめんね・・・。
お姉ちゃん達はあまりにも美しくて強かったから、誰も気付かなかった・・・。
私達“家族”は・・・“家族”なのに全然気付けなかった・・・。
お姉ちゃん達が“離れていかない男”以外に何を必要としていたのか、気付けなかった・・・。」


震えてきた声を出した時、定光が私の背中に手を添えてくれた。
いつも私と子ども達のことを守ってくれていた大きくて強くなっていた手を。


「私はこの会社でお姉ちゃん達と一緒に働いてたのに、雑務しかしていなかったから、やっぱり気付けなくて・・・。
お姉ちゃん達が大学卒業後に立ち上げた会社、ベビーシッター派遣のスタッフ達に、どんな指導をしているのか全然知らなくて・・・。」


“お姉ちゃん、私みっちゃんのことが男の人として好きなの。
みっちゃんも私のことが女として好きだって言ってくれた。
結婚するかは分からないけど、2人でずっと一緒にいることになった。”


先日伝えたその事実に、お姉ちゃん達は満足そうに笑った。


てっきり、また奴隷やオモチャが戻ってきたことに喜んだのかと思ったら・・・。


“ちっちゃなチ◯コにゴムしてるんだかしてないんだかまでは知らないけど、女に精子を出しまくってるうえに青っていう男のことが好きなホモだけど、みっちゃんは家族想いの良い男だよ。
お金を置く為に顔を出した時にたまたま見たけど、ちゃんと子どものことを怒ることもしてた良い男だったよ。”


お姉ちゃん達のその言葉、そして・・・


「先日、急にお休みになったスタッフの女の子がいたでしょ?
この会社は基本的には担当を変更することがないっていう方針だけど、そういう場合は対応しているから。
今回初めて私以外で手が空いていなくて、私が初めてベビーシッターの仕事をする為に他のスタッフさんから指導をされて驚いたの。」


定光の大きくて強い手を感じながら、泣いた。


「“子どもの頃に、自分がお母さんにして貰いたかったことをしてあげて。
社長達の方針は、担当している子どものお母さんが不在の間だけだとしても、“本当の母親になる”こと。
例えば、褒めるだけなら誰でも出来ることだけど、本気で怒ることはお母さんにしか出来ないことでもあるから、上手く叱れなくても上手に注意が出来なくても、子どものことを心から想って、本気で怒ることが出来る母親になることが社長達が求めるベビーシッターの姿。“」