私は3姉妹の1番下の妹。


上2人のお姉ちゃん達と同じような環境で育ったように見えるかもしれないけれど、そうでもなくて。


「外の世界ではみんながお姉ちゃん達の方を構って、私は、私のことはまるで見えていないように放置をされるくらいの女の子だった。」


そんな私のことを歪み過ぎている形だけど、お姉ちゃん達は構っていた。


昔はその形が何なのかよく分からなかった。


お姉ちゃん達がどうして私に酷いことばかりをしてくるのか考えれば考えるほど、お姉ちゃん達は退屈なのだと思っていた。


お姉ちゃん達は寂しいのだと思っていた。


私よりも先に生まれてしまったお姉ちゃん達には誰もいなかった。
お母さんが本当にたまに顔を出すだけのあの大きな家に、日替わりで来る家政婦とベビーシッターと自分達しかいなかった。


その寂しさの鬱憤を私で晴らしているのだと思っていた。


そう思っていたけれど、私はそれでも良いとも思えていた。


外の世界で誰からも気付いて貰えないような私に、歪んだ形だけど“何か”をくれるお姉ちゃん達のことを、たぶんそんな理由で私に酷いことをしてくるお姉ちゃん達のことを、1番下の妹として私は心から嫌いにはなれなかった。


そして、みっちゃんから・・・定光から愛の言葉を言って貰うことが出来た今なら分かる。


「昔は分からなかったけど、今なら分かる。」


お母さんのように未婚のまま子どもを産み、みっちゃんの家に沢山のお金と4人の男の子達を置いていったお姉ちゃん達に、言う。


「子どもとどうやって遊べば良いのか分からなかったよね?」


何も言わないお姉ちゃん達に、続ける。


「自分達がお母さんやお父さんから遊んで貰ったことなんてないから、分からなかったよね?」


「「・・・・・・。」」


「その美しさと強さから、誰も本気でお姉ちゃん達のことを怒らなかったから、どこまで酷いことを言ったりやったりして良いものなのか学ぶ機会もなかったよね?」


「「・・・・・・。」」


「自分以外の新しい家族に何をしてあげたら喜ぶかなんて、誰も教えてくれたことがないから分からなかったよね?」


「「・・・・・・。」」


何も答えないお姉ちゃん達に、笑い掛ける。


「私がみっちゃんのおちんちんのことで本気で怒ってからは、お姉ちゃん達はみっちゃんのおちんちんでは遊ばなくなった。
私が本気で、ほんっっっきで怒ったから。
たぶん、あれが誰かに怒られた初めての経験だったでしょ?」


美しくて強すぎるお姉ちゃん達。
それは小さな頃からずっと、この美しさとこの強さだった。


「“女王様として生きなさい。
そしたらみんなから構って貰えるから。
そして、決して離れていかない男を・・・寂しいから何処にも行かないでって言った自分のことを置いて何処かに行かないような、ずっと一緒にいてくれる男を掴まえな。”」


たまに顔を出すお母さんは私達にそう言ってきた。


お母さんも私達のように両親から育てて貰えなかった人だった。


「私はこんな見た目だからそんなことは無理だったけど、お姉ちゃん達は本当に“女王様”で。
お母さんに似た恋多き女なんて思われているけど、お母さんだってお姉ちゃん達だって今でも探してる。」


お姉ちゃん達のように美しいお母さんの姿も思い浮かべ、私は言った。


「自分のことを愛し抜いてくれて、寂しい時には絶対に何処にも行かないでくれる男の人を探し続けている。」


お母さんと同じことをしているお姉ちゃん達に大きく笑った。


「お姉ちゃん達にはもうとっくの昔からそんな男がいるのに忘れちゃったの?」


私の問いかけにはお姉ちゃんが2人で顔を見合わせた。


そんな姿にはやっぱり大きく笑ってしまい、お姉ちゃんに答えを教えてあげる。


「2人とも、2人ずついるでしょ?
2人によく似た・・・みっちゃんともよく似た見た目の美しい男が4人も。
上の子なんてもう18歳になってる。」