「え・・・・・・・?」



「自分と結ばれてしまったら、あのお姉様の従弟であり義理の弟にもなってしまう。
そうならない為にも、鎌田さんのことを守る為にも、必死に自分の気持ちを伝えることを我慢していたそうです。
私からしてみたら、ただそれだけの理由です。」



俺のことを昔から必死にあのお姉様達から守ってくれていた愛姉の姿がまた戻ってきた。



さっきカットをされ、塗り潰されたはずなのに、また戻ってきた。



「“みっちゃん”ではなく“定光さん”とキスをしたりエッチをしたり、そんな妄想だけをしながら、愛姉さんはこの人生を終えようとしていたそうです。
月に1度しか会えなくなっても、髪の毛にも触れてくれなくなっても、“みっちゃん”が幸せになる為に、絶対に自分からは気持ちを伝えることはないと、そう言い切っていました。」



俺の膝に重ねた2人の女の子達の手に力が込められる。



そして、2人の可愛い女の子達の口が同じ動きをした。



「「立って。」」



あんなに小さくて可哀想だった望ちゃんが、こんなにも力強い目で俺のことを見詰めてくる。



「幸せになってください、鎌田さん。
私は鎌田さんのことも“普通”に大好きです。
いつも綺麗で格好良い鎌田さんのことが大好きです。
鎌田さんの格好悪い姿なんて、私は見たくないよ。」



そんな可愛い言葉を伝えてくれた望ちゃんには自然と笑顔になり、俺は勢い良く立ち上がった。



「ダッシュで行ってくる・・・!!!!!」



店を飛び出した俺に、望ちゃんの声が更に背中を押した。



「駅に向かってます!!!!
愛姉さん、マジで生まれ変わってるから本気で急いでください!!!!!」



その言葉を聞き、どんな姿に生まれ変わったのか分からない愛姉のことを迎えに行く為に、ダッシュで駅まで走った。