「ですから、離してください!」


とある夕方 駅のホームにて。


私、凪野 舞桜(なぎの まお)はただいま絶賛、お助け募集中。

ほんの 数分前—


「やってしまった…」

今年の春、念願の華のJKになれた私はだんだん高校生活にもなれてきて 
浮かれていたのかもしれない。

夏も終わりにさしかかろうとしているのに暑いなぁー、なんて呑気に考えていた
矢先のことだった。


「スマホがない!」


とりあえず周囲を見回すが落ちているはずもなく。


暑さのせいか、元から考える力がないのか分からないけれど
解決策がなにも思い浮かばない。

嫌な汗ばかりが流れてきて、額を何度も拭う。