グループの中で、一番最後に自己紹介してくれたのは、眼鏡をかけた女の子。
黒いセミロングの髪をハーフアップにしていて、眼鏡の奥の目は伏せられていた。おとなしそうな印象。この子だけは他のメンバーと少し雰囲気が違って見えた。
(いや、見た目で判断しちゃ駄目だけどね)

光井(みつい) 瑞希(みずき)です。よろしくね、若葉さん」

「うん、よろしく。光井さん」

「…あの、私…部活があって、このあと一緒に帰れないの…。また明日から仲良くしてね」

「あ、そうなんだ」

柳さん、あたしたち「みんな」部活ないって言ってたけど…。
まあ、5人中4人が部活なければそんな言い方になるの……かな?

光井さんはちょっと困った顔で笑うと、わたしたちから離れ出口へと向かう。

「じゃ、じゃあ、マリヤちゃん。私…部活行くから。また明日ね」

「はいはい。バイバイ、光井。それじゃ、帰ろっか、若葉さん」

「う、うん!帰ろ!」

わたしはドキドキ緊張しながら、でも期待に胸を膨らませながら柳さんたちについて行った。

これで友達になれたりして!
わーい、女子グループと下校嬉しすぎるー!頑張るぞ!

そんな感じで浮足立ったわたし。
教室を出る瞬間、何となく振り返ると東雲くんが自分の席で本を読んでいた。

あの、魔術書を。