〇英華学園・屋上(夕)

夕焼けの街並み。

ゆき、玲央に壁に押し付けられている。

玲央「いったい何のつもり?」

ゆき、赤面。

ゆき、ふにゃふにゃとその場にへたれこんでしまう。

ゆき、赤面のまま見上げる。

ゆき「……やっぱりツキ様だ」

玲央「1日中つきまといやがって。何が狙いだ」

ゆき「狙いって」

玲央「やっぱり金か?いくら欲しいんだ」

ゆき、さらにふにゃふにゃとする。

ゆき「聞けば聞くほど本物……しかも生……」

玲央、呆れた顔をする。

玲央「なんだこいつ」

玲央、しゃがみ込んでゆきの顔を覗く。

玲央「答えろ。何が狙いだ」

ゆき「私はただ本当にツキ様か確かめたかっただけで」

玲央、立ち上がる。

玲央、ツキと同じ立ち絵のポーズ。

玲央「俺が真夜中ツキだ」

ゆき、さらにとろけた顔になる。

玲央「……どうしようもないな」

ゆき「私、絶対に誰にも言いません」

玲央「どうだか」

ゆき「誓います」

玲央「そんなの信用できるかよ」

ゆき「じゃあ、どうすれば」

玲央「……どうしようもないな」

玲央、扉の方へ歩いて行く。開けて出ていこうとする。

ゆき「あ、あの」

玲央「秘密だぞ」

玲央、ウィンクする。

ゆき「は、はい!!!」

玲央、立ち止まる。

玲央「そうだ」

玲央、ゆきに近づいてくる。

玲央「これ」

玲央、タオルを差し出す。

ゆき、受け取る。

玲央「ありがとう」

ゆき、さらにとろける。

玲央「あとさ」

ゆき、え?という表情。

〇ゆきの家(夜)

星空の下の街並み。

ベッドに上に散乱した服。

ゆき、腕組みをして悩んでいる。

ゆき「うーん」

ゆき、悩んでいたと思ったらニヨニヨしだす。

ゆきM「今日は天国だった~あんなに近くでツキ様の声が聴けるなんて~」

ゆき、顔を両手で押さえてニヨニヨ。

ばらっとした衣服。

ゆき、はっとしてまた衣服を掴んで選び始める。

ゆき、頭を抱える。

ゆき「どうしよう~~」

〇駅(昼)

繁華街。人で賑やか。

ゆき、私服で玲央を待っている。きれいなシルエットのワンピース。

ゆきM「今日は突然玲央君に誘われちゃった。何の用事かはわからないけど……もしかして、タオルのお礼かな~~」

ゆき、ニヤニヤしながら待っていると、足元に人影。

玲央「おう」

玲央、私服。黒モード系。

ゆき「おはよう。それで、今日はどこに……」

玲央「口止め」

玲央、悪い顔をしている。

ゆき「あ、あの、私、絶対に言わないので」

ゆきの頭の中に路地裏や人気のないところが頭に浮かぶ。

玲央「それは……」

〇電器屋(昼)

冷蔵庫。洗濯機。掃除機。パソコン。

玲央「ここ」

玲央、当然のような顔で入っていこうとする。

ゆき、立ち止まって困惑した表情。

ゆき「あ、あの」

玲央、顎でついてこいと示す。

パソコンのモニターやキーボードが並んでいる。

玲央「どれにするかな」

玲央、吟味を始める。

ゆき、置いてけぼり。

ゆき「本当にどうしたんですか」

玲央「口止め」

ゆき「全然つかめないんですけど……」

玲央、にやっと笑う。

玲央「あんたはうちに入ってもらう」