桐生くんと、たこ焼きやかき氷、わたあめ、りんご飴など、お祭りならではの食べ物を食べて、お祭りをたくさん満喫した。


 途中、お面も買った。


 もちろん桐生くんも。


 最初はそんなもん嫌だと渋っていたが、お揃いにしたいと頼み込んだ結果、しぶしぶつけてくれた。


 楽しい時間を過ごしてるうちにあっという間に花火が打ち上がる時間になる。


 「そろそろ、花火が打ち上がる時間だな。」


 「ほんとだ。なんかあっという間にだったね。」


 花火を見たら終わってしまうと思うと、物悲しく感じる。


 「穴場があるんだけどよぉ。そこ連れっててもいいか?」


 「うん!」


 そう言って連れてきて貰ったのは、神社の奥にある小さな公園だった。


 柵もないし、正確には公園と呼べないかもしれない。


 けれど、少し古びたブランコと滑り台が置いてあるから、何となく公園だと思ってしまう。


 少しするとバンッと大きな音を立てて花火が打ち上がる。


 音には少しびっくりするけれど、夜空に大輪が咲く瞬間はとても綺麗。


 たくさんの花が夜空に咲いていく。


 桐生くんの方を見ると、目が合った。


 「好き。」


 顔を見たその瞬間、好きという想いが溢れた。


 わたしの声は花火に消されることなく、届いた。


 だって、桐生くんの頬は暗闇でわかるくらい真っ赤だったから。


 きっとわたしも赤くなっている。


 さっきから顔がとっても熱いから。


 「わたし、桐生くんのことが、好きです……。」


 大きかった花火の音は、今では遠くに聞こえる。



 「助けてもらったあの日から、優しい桐生くんが、笑顔が素敵な桐生くんが大好きです。」


 その瞬間、ぎゅっと抱きしめられる。


 「俺でいいのか?」


 「うん。き……京真くんがいいの……。」


 「俺も華音のことが好きだ。」


 わたしの顔を覗き込まれる。


 「俺と付き合ってくれないか?」


 「はい!!」


 京真くんの顔がだんだん近づいてくる。


 甘い予感を感じわたしはゆっくり目を閉じた。


 唇に触れるだけのキスを落とされる。


 「フッ。顔真っ赤、可愛い。」


 「桐生くんも真っ赤だよ。」


 「好きなやつに好きって言われたら照れんだろ?あと、名前戻ってる。」


 「……京真くん。」


 「ん。」


 京真くんが嬉しそうに笑う。


 「これからよろしくね。京真くん。」


 「よろしく。華音。」


 美しい花火に見守られながらわたしは京真くんの恋人になった。


 これから先、こんな風にたくさんの楽しい思い出を作って行きたい。


 京真くんと二人で!