それから数日後。
アイリは王宮の城の自室に、親友の真菜を招いた。
部屋の真ん中に敷かれたフワフワの絨毯に座り、今日も二人は女子トークを始める。
真菜がアイリを見て、まず気付いたのは……

「あれ?アイリちゃん、その指輪って?」
「あ、これ?ふふ……実はね……」

アイリは薬指の赤い宝石を指先で触れ、照れながら続きを口にしようとした。
さすがにもうアイリの説明を聞かなくても、真菜は見ただけで分かる。

「ディア先生から二度目のプロポーズされたんだね。おめでとう」
「ありがとう、真菜ちゃん」

ペンダントが指輪に変わったという事は、結婚間近だ。
もうすぐ魔王と王妃が異世界巡りから帰ってくるし、挙式も近そうだ。
すると、なぜか真菜がアイリの全身をじっと見つめている。

「え、なに、真菜ちゃん?」
「……アイリちゃん、もしかして……ご懐妊?」
「え、え、ええっ!?」

前にも真菜に、こんな事を言われたような……。

「な、なんでそう思うの!?」
「アイリちゃんの中に、2つの魂が……あれ?3つ見える気がする」
「え、増えてるよ!なんで前より増えてるの!?」

真菜の能力は侮れないので、これが何を意味するのか気になる。
もう1つの魂はイリアだとしても、さらにもう1つは一体!?



落ち着かなくなったアイリは、その後すぐに医者の手配をした。
そして担当医師の女性が打ち明けたのは、衝撃的な真実だった。

「アイリ様の中に、胎児の姿を確認できました」

「え!?」

アイリは衝撃に声を上げるが、懐妊の事実に驚いたのではない。
今までは、生命反応と魔力しか確認できなかった赤ちゃんの『実体』を確認できたからだ。
やっと、これで、ようやく産んであげられる……。
ディアにも笑顔で報告ができる。
アイリはポロポロと涙を零す。
唯一、懐妊の事情を知っていた医師も感極まって一緒に泣いている。
さらに医師が報告を続ける。

「しかも、胎児の姿と生命反応は2つずつ認められます」
「え?それって……」
「アイリ様、おめでとうございます。双子のお子様です」
「ええっ!?」

アイリは喜びよりも驚きが勝ってしまい、声を上げる事しかできない。