「センパイ、いっしょに帰りましょう!」
部活後、昇降口に向かって歩いていると、後ろから苺梨が走って追いかけてきた。
窓からは夕陽のオレンジ色が斜めに差し込んでいる。
あれから一週間、ボクは苺梨とおままごとのような“つき合い”を演じている。
そう、演じているんだ。
苺梨は最初こそおずおずとしていたけれど、実はとてつもなく明るくてポジティブな女の子だった。
普段お淑やかにフルートを吹いている姿からは、とても想像できなかった。
「う、うん」
ボクは周囲の目を気にしながら頷いた。
ボクと苺梨がつき合い始めたことは、瞬く間に広まった。
ボクは誰にもなにも言っていないので、おそらく京美先輩経由だろう。
あれから京美先輩には、会う度に「妹をよろしくね」と蕩けそうな笑みで頼まれる。
優柔不断で気弱なボクは、頷くしかできない。
ボクの中に打算がないとは言えない。
こうして苺梨とつき合っているうちに、京美先輩との距離を縮められるんじゃないかという下心だ。
京美先輩は数々の武勇伝を持っており、数多くのイケメン男子が玉砕している。
有名なのは一日10人に告白されたというものだ。
イケメンの先輩やスポーツで全国的に有名になった男子。
アイドルやモデルをしているという男子も、告白した男子の中にはいた。
そのことごとくを振り、数多くの男子が沈没したそうなのだ。
中学時代は近隣どころか他県の高校生も京美先輩を見に来たことがあったらしく、この学園を卒業したら芸能界へ進むらしいなどという噂もある。
部活後、昇降口に向かって歩いていると、後ろから苺梨が走って追いかけてきた。
窓からは夕陽のオレンジ色が斜めに差し込んでいる。
あれから一週間、ボクは苺梨とおままごとのような“つき合い”を演じている。
そう、演じているんだ。
苺梨は最初こそおずおずとしていたけれど、実はとてつもなく明るくてポジティブな女の子だった。
普段お淑やかにフルートを吹いている姿からは、とても想像できなかった。
「う、うん」
ボクは周囲の目を気にしながら頷いた。
ボクと苺梨がつき合い始めたことは、瞬く間に広まった。
ボクは誰にもなにも言っていないので、おそらく京美先輩経由だろう。
あれから京美先輩には、会う度に「妹をよろしくね」と蕩けそうな笑みで頼まれる。
優柔不断で気弱なボクは、頷くしかできない。
ボクの中に打算がないとは言えない。
こうして苺梨とつき合っているうちに、京美先輩との距離を縮められるんじゃないかという下心だ。
京美先輩は数々の武勇伝を持っており、数多くのイケメン男子が玉砕している。
有名なのは一日10人に告白されたというものだ。
イケメンの先輩やスポーツで全国的に有名になった男子。
アイドルやモデルをしているという男子も、告白した男子の中にはいた。
そのことごとくを振り、数多くの男子が沈没したそうなのだ。
中学時代は近隣どころか他県の高校生も京美先輩を見に来たことがあったらしく、この学園を卒業したら芸能界へ進むらしいなどという噂もある。