「苺梨」

 顎はガクガク、左頬はじんじん痺れている。痛みで涙目になっているのがわかるし、心なしか左目の視界が狭い。たぶん頬が腫れてきているのだろう。

 それでもボクは、苺梨を真正面から見つめた。

「ボクと…… これからもつき合ってくれますか?」
「……はい。……はい!」

 苺梨は涙の粒を散らしながら、ボクの胸へと飛び込んできた。

「くそっ、これじゃ俺は完全に悪者じゃねぇかよ!」

 斉木はペッと唾を吐くと、肩を怒らせながら去っていった。