「苺梨!」
苺梨は近くの公園のベンチに座っていた。
俯いて両手を自分の膝に置いていたが、ボクの声を聞いて顔を上げた。
両目からはたくさんの涙が流れていた。
「舜右…… センパイ……」
呆けたようにボクを見上げる苺梨の隣へ腰掛けた。
「どうして……」
「先輩が追えって」
「……そう」
そういうと苺梨はまた俯いてしまった。
ボクはなにを言うべきなんだろうか。
そうすればいいんだろうか。
勢いで追いかけてきたけれど、その後どうすればいいのかなんてわからない。
ボク自身、どうしたらいいのかわからないのに。
「センパイ、あのね」
苺梨がぽつりと呟く。
暮れ始めた街の雑踏が、遠くに聞こえた。
「アタシ、センパイがアタシのこと好きじゃないってわかってたの」
「そ、それは……」
ボクには心当たりがありすぎて、どう答えたらいいのかわからない。
「でも、そのうち好きになってくれるって。アタシを振り向かせてやるって、そう思ってたの」
苺梨は膝の上組んだ指を、もじもじと動かしていた。
「センパイはお姉ちゃんのことが好きなんだよね」
ボクは息を呑む。
やっぱりバレてたんだ。
「お姉ちゃんはね? 昔からアタシのためになんでもがんばってくれたの。テストでいい点を取らなきゃならないときは一生懸命教えてくれたし、新しい楽器を買ってもらうときはいっしょにお父さんを説得してくれた」
京美先輩らしいな。
「昔から自慢のお姉ちゃん。だからセンパイを好きになったときも、真っ先に相談した」
「あの…… 聞いていいいかな?」
苺梨が赤くなった目でボクを見上げた。
「ボクの…… なにがよくてす、好きになってくれたの?」
「ふふ」
苺梨は目を細めて薄く笑った。
「まっすぐなところ」
「え……」
苺梨は顔を上げ、街の雑踏を見つめる。
涙の膜が張った瞳には、街の灯りが映っていた。
「嘘が吐けないところ。全部顔に出ているし」
「そ、そんなに出てるかな」
ボクは自分の頬を手で触った。
苺梨は近くの公園のベンチに座っていた。
俯いて両手を自分の膝に置いていたが、ボクの声を聞いて顔を上げた。
両目からはたくさんの涙が流れていた。
「舜右…… センパイ……」
呆けたようにボクを見上げる苺梨の隣へ腰掛けた。
「どうして……」
「先輩が追えって」
「……そう」
そういうと苺梨はまた俯いてしまった。
ボクはなにを言うべきなんだろうか。
そうすればいいんだろうか。
勢いで追いかけてきたけれど、その後どうすればいいのかなんてわからない。
ボク自身、どうしたらいいのかわからないのに。
「センパイ、あのね」
苺梨がぽつりと呟く。
暮れ始めた街の雑踏が、遠くに聞こえた。
「アタシ、センパイがアタシのこと好きじゃないってわかってたの」
「そ、それは……」
ボクには心当たりがありすぎて、どう答えたらいいのかわからない。
「でも、そのうち好きになってくれるって。アタシを振り向かせてやるって、そう思ってたの」
苺梨は膝の上組んだ指を、もじもじと動かしていた。
「センパイはお姉ちゃんのことが好きなんだよね」
ボクは息を呑む。
やっぱりバレてたんだ。
「お姉ちゃんはね? 昔からアタシのためになんでもがんばってくれたの。テストでいい点を取らなきゃならないときは一生懸命教えてくれたし、新しい楽器を買ってもらうときはいっしょにお父さんを説得してくれた」
京美先輩らしいな。
「昔から自慢のお姉ちゃん。だからセンパイを好きになったときも、真っ先に相談した」
「あの…… 聞いていいいかな?」
苺梨が赤くなった目でボクを見上げた。
「ボクの…… なにがよくてす、好きになってくれたの?」
「ふふ」
苺梨は目を細めて薄く笑った。
「まっすぐなところ」
「え……」
苺梨は顔を上げ、街の雑踏を見つめる。
涙の膜が張った瞳には、街の灯りが映っていた。
「嘘が吐けないところ。全部顔に出ているし」
「そ、そんなに出てるかな」
ボクは自分の頬を手で触った。