自分が歳を取れば取るほど、

鈍くなったほうが楽なことが多かった。

周囲からの評価、妬み、他人の才能、

知ったら自分を見失いそうになると思った。

でもこの人は、どんなことからも

逃げずに向き合っている。

周りからやわらかく、能天気に見えているが、

彼女が1番現実を見て強く生きている。

だからこそ、自分に素直で美しいのかもしれない。

「綺麗だね」

シャボン玉を見る横顔に目が行く。

「ほんと、綺麗だよ」

まるですぐ割れてしまう綺麗なガラスのように

繊細だけど透き通るほど美しい。

手が届くわけないのに、欲が出てしまいそうだ。