1年目 春


名前順で並ぶとき、たまたま近くにいた子、

美生(みき)と仲良くなった。

彼女はとても明るくて、しっかりした、

皆の人気者だった。

美生のおかげで知り合いはどんどん増えていった。

私自身、人見知りはしないタイプなので

周りと仲良くなるのに時間はかからなかった。

ふと新入社員全員が集まったとき、1人、

目に留まった人がいる。

その彼は皆が話し合っている間

ずっと静かに桜を眺めていた。


-- 村中 類《むらなか るい》

高卒の彼は私より4個下だったが

すでに優秀で賢いと噂が回っていた。

私が知っている彼は、とても優しい目で

桜を眺める不思議な人だった。