類Side


「最近吉川さん見かけないよね」

「やっぱ仕事忙しいんかな」

そんな同期の会話が聞こえる。

あの日以来、彼女は昼休憩にも飲み会にも現れなくなった。

同期たちは彼女の忙しさに配慮して

だんだんと誘わなくなっていった。

「同じ部署の先輩といい感じらしいよ。

 一緒に帰ってるの見たって人結構いる」

人づてに聞く彼女はどうやら充実しているようだった。

彼女に感じていた不思議な気持ちは

ゆっくりと時間をかけて化石のようになっていった。

硬く冷やされた気持ちは、土に埋もれて、

きっともう掘り起こされることはないと思った。