充希Side

昔から人の顔色をうかがってしまう性格だった。

嫌われることが怖くて、でも自分に自信なんてなく

て、周囲の人が求める自分になろうと努力していた。

どうやら人間は自分にないものを持っている人に

惹かれるようにできているらしい。

だからかもしれない。

私の好きになる人はいつも全く違うグループの

ほぼ関わりのない人だった。

自分の周りにいる人は賑やかでいつも楽しい。

でも休み時間に一人で本を読んでいる、

席から外を静かに眺めている、

そんな人が好きだった。

そんな遠い星の人々にはうるさいと思われていたり、

存在すら知られていないことのほうが多かった。

もちろん告白する勇気などなく、

遠くから見つめられるだけが私の恋愛の仕方だった。