太志の洗いの方の仕事は染色補正技能士っていう国家資格がいるらしい。
「初めて聞いた」
「ん、だろうな、まあ、後で検索でもしてくれ」
前に配達に来ていたおじさんは太志さんの叔父らしい。
叔父には子供がいなくて太志が資格を取ると決めたという。
自分は口下手だから商売には向いてないと思うと言うが、姫乃が行った時はすごく的確だったよと太志さんを褒めた。
兄貴の方が向いてると会えば感じるはずだと太志さんは言ったが私がお兄さんに会うのだろうか、もし会っても来年の新作買い付け?
でも私が来年行くのかも分からない事だし。
太志が取ろうとしている染色補正技能士の資格は実務を2年でまず2級を取得して、1級を取るには7年の実務か、2級取得後、2年経たないと受けれない。
それも1級の国家試験は毎年ある訳ではないらしいのだ。
太志は大学を卒業して2年叔父さんに習い2級を取得、26歳の時に最初の1級資格に落ちたそうで他の所に修行にでていたと話してくれた。
そして今年1級資格が開催される事が発表されて所属を戻すため『宮乃』に戻ってきた訳だった。
「今年は絶対取りたいんだよ……」
そう言うと太志は黙ってしまった。