そりゃそうだ、家ではないかなって姫乃も1人ツッコミをしていた。

「凄く美味しくて、また食べに行きたいです」

「それは親父が喜ぶよ」

「1人では入りにくいですよ、一緒に行ってくれないとー」

「カウンターとかなら大丈夫だよ」

「恥ずかしくて行けないかもです」

ランチは1人で行けるんだからきっと行けるよね〜と姫乃は思いながら歌いたい曲を入れた。

後藤くんからは助けてくれよと目で合図があったが助けようもなにも間に座っているし、私にほぼ背を向けているから何も出来ない。

「後藤さんもお鮨が握れるんですか?」

「まあ、素人だけど料理はするよ」

「魚もさばけたり?」

「う、うん」

「後藤さんはお鮨が食べれない彼女さんは親に紹介できます?」

「それは…別に気にしないと思うけどな、今の時代多様性だから」

「ですって、西さん」

「え?」

「もう、聞いてなかったんですか?」

「うん、ごめん」

「後藤さん、お鮨が食べれなくても親に紹介出来るらしいですよ」

「ちょっと田辺さん、さっきから君は何を言ってるんだよ」

「あ、私の番だ」と姫乃は小さなステージに歌いに行った。