「たい、あっ」

姫乃は慌てて口を塞いだ。

フッといつもの軽い笑い方をする。

「あ、あの、この桜のバッグと草履が素敵で、どういう着物が似合うのかなって想像してました、すみません、綺麗な桜のデザインですね」


こちらへと太志に言われて、姫乃は靴を脱いで2段ほどあがり畳のフロアに案内された。

あっ、班長は?

班長も新作の説明を女性従業員から受けているようだ。

太志がさっきの桜の小物を持ってきてくれて、着物を2着出してきた。

姫乃と太志は正座をして説明を受ける。

「桜のバッグを使うには季節が春じゃないといけないわけじゃあないんだ、ただこの着物のように花びらだけの柄や他の花が混ざっている場合は季節を問わずに着れるんだよ」

「そうなんですね」

「ただ、桜の花びらだけじゃなく枝とかが入っている柄の場合は桜の季節に着るものなんだ」

「あっ、じゃあこれを購入しても着物を合わす時に気をつけなきゃだめですね」

「そうだね、ただ、着物が桜じゃなくてもこの小物は使ってもいい」

「勉強になります…って何でいるんですか?」

姫乃は小声で聞いた。

「洗いが休みの日曜日と水曜日はしばらく店舗の仕事をしなくちゃいけないんだ」

「どうしてですか?」