「キスでもスイッチが入る時があるだろ」
「知りません、私そんな経験豊富じゃないんで」
壊れそうって言ったのに太志さんてば…と言うと仕方ねぇんだよ、欲がおさまらなかったんだよと…
姫乃にとっては嬉しい言葉だった。
「明日仕事になんのかよ」
「大丈夫ですよ……多分」
ぎっくり腰ではないから、ちょっと腰がだるくて力が入らないだけだから……
あんなに激しいの初めてだったし……
「さっき、濁しましたよね?」
「何を?」
「付き合うのかって聞きたかったんですけど」
やめようと思ったのに太志さんの機嫌が良さそうだったから聞いてしまった。
「あー」
「私、セフレですか?」
「そういうんじゃ…ないんだよな」
太志さんは何か考えてはいるようだった。
「わかりました」
「もういいのかよ」
「はい、すみませんでした、欲がでちゃいましたね」
太志さんといられるならセフレでもいいやと思ってしまった。
でもそういうんじゃないと言うことは少しは期待してもいいって事。
少し気持ちが楽になった。
「姫乃」
「はい」
「姫乃の家に行け」
「え?」
「いいから」
「……はい」
姫乃は言われるがままに自分の家に行った。
駐車場に着くと運転席に回ってくれて抱き抱えてくれる。
「やっぱりだな」
「え?」
女性だから1階じゃないと思ったらしい、階段の事を考えて姫乃の家に来たらしかった。
太志さんは玄関まで送ってくれて「鍵閉めろよ」と言ってくれた。
「あ、ありがとうございます」
「俺はタクシー拾うから大丈夫だから」
「すみません」
「謝ることじゃない、わかったな、じゃあ、また」
「はい」
太志は帰っていった。
姫乃は部屋着に着替えるとベッドに横になるとすぐに寝ていた。