太志の行きつけのBARの近くのパーキングに車を停めた。

「これ、渡しとく」

ポケットから財布を出し千円札をくれた。

「これは?」

「駐車場代」

「いいですよ、私が車で来たんですから」

「ダメ」

じっと見られてしまった。

「はい、ありがとうございます」

姫乃は素直に受け取った。

この人は全部出してくれる人、もうそう思わなきゃ、でもわがままにならないように…

姫乃はお金を財布にしまった。


少し歩くと店に着いたようで…

「太志さん、ちょっと待ってください」

「ん?」

姫乃は太志の腕を引っ張り大きな体を引き寄せてキスをした。

「ふふっ」

「何で今?」

「だって太志さんが呑んだら私が運転するからキスが出来なくなっちゃうもん、アルコールがはいっちゃうでしょ」

太志さんのキスはいつも激しい、唾液も絡まり合う、だから今日はもうキスが出来ないと思った姫乃は先にキスをしておこうと咄嗟に思いついたのだ。

「ふーん、可愛い事するじゃん」

太志の顔が近づいてきて深いキスをくれた。

「んっ、んっ…ぷふぁ……」

太志はスマホを出すと予定変更と言って姫乃の手を引っ張り歩き出した。