姫乃は見上げるのをやめて、太志さんのお腹にスリスリと頭をこすりつけた。

太志は後頭部を軽くポンポンとしてくれる。

大きな手だからもはや頭の半分は手で隠れてはいるが…気持ちよかった。

「この車は姫乃の?」

太志は目の前のスカイラインを見ていた。

「はい」

「ちっちゃいのにスカイライン乗ってんの?」

「小さくても座席を1番前に出せば乗れますよ」

「姫乃、かっこいいな(笑)」

「父のお古なんです」


姫乃から離れると、太志は車の周りを見て回っていた。

車好きなのかな?

「運転席に座らせてくれよ」

「いいですよ、あっ座席下げてください」

「下げないと座れねぇよ(笑)」

ですよねー。

姫乃も助手席に座った。

「運転してもいいですよAT車なんで、何か食べに行きますか?」

「いや、メシは食った、姫乃もだろ?」

「はい」

「呑みに行きたい」

「いいですよ」

太志はエンジンをかけた。

ブォンと響く音がする。

かっこいいなと言っていた。



「俺が店を決めていい?」

「いいですよ」

太志は駐車場を1周するとそのまま店に向かって車を走らせた。