トロんとした目を太志さんに向けた。

「フッ、やり過ぎたな」

今度は軽いキスをくれた。

「なんとか時間を取ってみる」

「無理はしないでくださいね、会えただけでも凄いことだし、嬉しいですよ、デートとかしたいです」

「じゃあ、戻るか」

あれ?デートはダメなのかな……



「あっ、もう一度キスを下さい、口紅つけ直すので」

カバンから姫乃は口紅をだした。

「姫乃は欲張りだなぁ」

「もう25歳なんで自分の思った事を…んっ…ぷはぁ」

「歳は関係ないよ」

「はい…」

姫乃は口紅を塗り直した。

「仕事、仕事」

太志は車を走らせた。

少し会社の手前で停めてもらい、「ご馳走様でした」と言うと姫乃は歩いてビルに戻った。

姫乃は自分の席に戻ると田辺さんに『宮乃』さん来られたんですか?と聞かれた。

「うん、来たよ」と言うと

「残念ー」

「あちらさんの都合もあるからいつも時間通りにはいかないわよ」

「ですねぇ」



夕方後藤くんが今日どう?と聞いてきた。

今日はご飯だけなら…お酒はいいかなと答えると

「OK、筒井らにも言っとく」

「うん」

「西さんは本当に後藤さんと仲良いですよね」

田辺さんにさっきの会話が聞こえたようだ。