裏から店の裏側に歩いて行き従業員に挨拶をしていく姫乃。
お義兄さんと引き継ぎを済ませて店に立つ。
しばらくすると車から降りてきたご婦人が店に入ってきた。
「赤松様、いらっしゃいませ!」
姫乃は綺麗な姿勢でおじぎをした。
「あら、今日は店長じゃないのね」
「申し訳ありません、今日は反物の仕入れに行ってまして、明日の午後には新しい反物が並ぶと思いますのでまたお越しくださいませ」
「新作ね、楽しみだわ、明日また来させてもらうわね」
「はい、ありがとうございます、それでは仕立ての仕上がったお着物を持って参ります、お座りになってお待ちください」
姫乃は従業員にお茶を頼み奥に赤松様の着物を取りに行った。
そして、共通のノートに
『明日の日付と午後から赤松様が新作の反物を見に来店予定です、姫乃』と書いておいた。
赤松様に確認してもらいお茶を飲む間、世間話をしていた。
奥から和服に着替えた太志がノートを見る。
「全く早速お客様の予約かよ、出来た嫁だぜ」
ふぅと太志は深呼吸をした。
あまり喋るのが得意じゃない太志はいつも深呼吸をしてから店に出る。
「いらっしゃいませ」
赤松様と姫乃が座っている席に挨拶に行くと
「今日は若夫婦なのね」