「太志さん…あっ…」
姫乃達は初めて過ごしたホテルに来ていた。
「んっ…やだ…」
「何がだよ」
「女の人に誘われてもついて行っちゃだめだからね…」
「誘ってねぇ、勝手についてきただけだ、だから姫乃に来いって呼んだんだろうが…くっ…相変わらず酒が入ると締まりがいいな」
「太志さん…が…かっこいいんだもん」
「久しぶりのエンジェルキッスはどうだった?」
「んっ…気持ちいい」
「今じゃねーし、カクテルの味を聞いてんだよ」
「呑んだらね、太志さんに抱かれたくなる…」
「へぇ…じゃあ俺以外の男の前では飲むなよ」
「うん…無理、太志さんじゃないと私はもう…」
姫乃は両手を伸ばして太志の身体に手を回していく。
「もう…んっ」
「やべぇな、姫乃、可愛いし、俺ももう姫乃じゃなきゃ…っ…」
あれ?私昨日……ここ、半年前のホテルだ。
姫乃はベッドから起き上がると部屋をキョロキョロ見渡すと隣には太志さんがいて安心した。
ベッドで眠っている太志さんの上に重なると目を覚ましたようで
「うーん…何だよ」
「ねぇ、昨日私何で太志さんとお店出たんだっけ?」
「姫乃が抱かれたいって言ったからだろ、覚えてないのかよ」
上に乗った姫乃を横におろして、太志さんは上半身を起こした。
「そう…なんだ」
「仲の良い同僚の前でな」
「え?」
太志さんの話を聞くと多分後藤くんの方みたいだった。