「スポーツは嫌い?」

「嫌いではないですけど、得意でもないです…私…何か得意っていうものがなくて…部活動とかもやってなかったので」

「それはまだ出会えてないんじゃないかな」

「そういう風に言って貰えると嬉しいです、趣味は?って聞かれると何も思いつかなくて」

「君の名前は?」

「あっ、すみません、人に聞いたのに自分が名乗ってなかったですね…姫乃と言います」

「姫乃か」

名前を呼ばれるだけでドキッとした。

シャンパンを呑んで口からグラスを外すと太志さんがキスをしてきた。

「少し顔が赤いが…」

大きな手で頬を触ってくる。

「私…その…初めて会った人とその日にって今までなくて…緊張してます」

「そうか、乱暴には抱かないから安心しろ」

「はい」

姫乃はグラスの残りのシャンパンを一気に飲み干した。

太志さんは姫乃の持っていたグラスを取りテーブルに置いてくれた。

姫乃が太志さんを上目遣いに見るとフッと優しい笑顔になった。

前髪ぱっつんの姫乃の前髪をそっと分けて優しく「ちゅっ」っとキスをくれた。


「あれ、おかしいな…俺も緊張してきた」

「わ、私のが移ったですか?でも、慣れてる誘い方だったので…」

「いや、まぁ…否定はしないが、久しぶりだからかな…ほら」

軽く抱きしめてくれると太志さんの心臓もドキドキに鳴っている音を聞かせてくれた。