「別に普通だろ」
「……ごめんね」
「別にこれくらい」
姫乃はこんなに優しいのに気持ちに答えられなくてごめんの思いだった。
半年前と同じようにみんなといても目で追ってしまう、太志さんをじっと見てしまう自分がいる。
「姫乃、ちょっと酔ってきてるよね、大丈夫?」
「大丈夫だよ」
満里絵が話しかけてくれても太志をずっと見てる。
太志の隣に知らない女性がすっと隣に座った。
えっ!
太志さんに話しかけている…
やだ、2人で抜けないよね…
2人は席を立つと喫煙所に入っていった。
煙草に火をつける時に目が合った。
煙を姫乃に向かってゆっくりとふかした。
女性も煙草を吸いながら太志さんに話しかけている。
すると半年前と同じように来いと人差し指を立ててクイクイと合図をされた。
姫乃は立ち上がった。
「えっ、ちょっと姫乃、どこいくの?」
満里絵の言葉に返事をせず喫煙所に入っていく。
「ちょっと、止めた方が…」
後藤が追いかけた。
「西、待てよ」
姫乃の腕を取ると離してと言われた。
その手は太志の首に回された。
姫乃が抱きつくと太志は片手を姫乃の身体に這わす。
「何よ」と喫煙所の女性は後藤を押しのけて出ていった。