「俺が連絡したのって兄貴だぜ?」

「え?だって魚屋さんが言ったよ?」

「昨日じゃないか?」

「あー、昨日は話した」

こんなのどうやって料理していいかわかんないと少しべソをかいていた。

「母さんが帰るまで待てば?」

太志が提案した。

「あの…私、やりましょうか?」

「出来るのか?」

「はい」

「でもお刺身だめなんでしょ?」

「食べれないだけなので」

姫乃はカーディガンを脱いでノースリーブのワンピースになった。

エプロンどうぞとひふみさんがつけてくれてキッチンハサミを借りた。

氷水も用意してもらいあっという間にさばき、6匹あった伊勢海老は4匹は刺身に、2匹はボイルにしてお皿に盛り付けた。

伊勢海老のお味噌汁も用意された。

「ありがとうございます」

姫乃はエプロンを返した。

「凄いね」

「いえ」

「母さん達は?」

太志が聞いた。

「祭りの会合、もう戻るよ」

あぁ、そういえば言ってたな。


「私、料理は苦手なの」

「ひーちゃんは無理にしなくてもいいっていつも言ってるだろ?」

「だって…」

あぁ、この人も同じだ。

『宮乃』の為に何かやりたいんだな…