「1班には連絡はきてないはずだよ?」
満里絵の話だと昨日田辺さんの友達が夏休みで帰省していて撮影したいと予約を入れたらしい。
来店して着物を選ぶと言ってたのにホームページを見て気に入って朝に田辺さんに連絡が入ったというのだ。
「田辺さん、断れなかったの?パソコン見たらわかるでしょ」
太志が姫乃の前で手を振った。
「ちょっと待ってね」
姫乃はスマホを遠くに外した。
「KOGUMAのは洗い終わってる、配達さそうか?」
「いいの?」
「電話してくる」
太志はフロントに電話を借りに立った。
「もしもし、洗いは終わってるらしいわ、今配達に出れる人を探してくれてる、ちょっと待ってね」
「助かる、今日店がお休みだからこっちも取りに行こうと考えたんだけどね、姫乃に聞いた方が早いかなって…一緒にいたんだね」
「うん、今ね、訳あって東京に来てるの、また話すね」
太志が帰ってきてOKと指でしてくれた。
「満里絵、OKだって、配達に来てくれるから後はお願いね」
姫乃は電話を切った。
「ありがとう、新人が友達の撮影を気軽に引き受けちゃったみたいで」
「いいよ、急ぐときは結構あるんだよ、KOGUMAはパソコンで管理してくれているから滅多にないだけで」
KOGUMAは汗ジミが多いからすぐに洗うようにしていると太志さんは話してくれた。