太志が先に浴室から出ていった。
もう、朝から太志さんてば…はっ、急がなきゃ!
姫乃は急いで化粧を始めた。
太志はハーフアップにしてさっさと支度を終えていた。
「姫乃、荷物全部スーツケースにぶち込んでもいいか?」
「お願い〜」
マスカラをつけ口紅を塗っている。
あと5分…
なんとか化粧も終えてチェックアウトすることができた。
下のラウンジでコーヒーを飲む。
「焦った…」
「朝は姫乃にかかってる(笑)」
「もう〜、目覚ましのかけ忘れに気をつけなきゃ」
「まあ、朝まで抱いてたから仕方ないな」
「起きる時間はちゃんと決めよ(笑)」
太志さんからスマホを受け取ってから昼にしようなと提案されると姫乃のスマホが鳴った。
「出てもいい?」
うんと太志は頷いた。
「もしもし」
「あ、姫乃、休みの日にごめん」
「どうしたの?トラブル?」
「新作の振袖の赤いのってどこにある?」
「洗いに出してる、チェック付いてない?」
パソコンはまだ見てないのよと満里絵は言った。
姫乃は太志と目を合わせた。
どうやら午後から撮影に来るお客様がホームページを見ていて着たいと言っているそうで……